RECORD

Eno.50 Liber·O·Igreedの記録

 自分が石化で死ぬと悟った時、悲しみよりも絶望の方が大きかった。

 僕はどう抗っても魔導クローンで。
 この幸せも、もう終わりを迎えるんだって。

 何も絶望はこれが初めてじゃないのに、首に伸びる赤紫の結晶が酷く憎かった。

 それでも死の恐怖が湧いてこない。今、胸を貫かれても、首を絞められても『痛いなぁ』って思うだけだろう。
 ミカゼが言うには、アリィーという子も最初は「死は怖くない」と伝えて、死ぬ直前になって「怖い」となったらしい。

 僕もそうなれる? いや、ならないだろうなぁ。
 魔導クローンは、死の恐怖がない。他の恐怖や、僕みたいに死に対する他の感情はある。
 結局のところ、いつ死んでも騒ぎ立てない便利な使い捨てとして調整されているだけ。

 僕らは底辺さ。
 純人間のミカゼよりも、ずっとね。

 どうせ早死するのに、気を許す必要だってないのさ。
 だから気をつけなよ。

 嘘を覚えて同情を煽る様なクローン程、最悪なやつはいないから。

 ほら、また一人引っ掛かった。
 君の妹、純情過ぎやしないかい? ま、君も最初会った時そんな感じだったか。

『死ぬ前に、君に触れたかったんだ』


『良ければ今度、一緒に出掛けない?』



 忘れるなよ。僕はウッドカットの傭兵なんだ。
 金さえあれば何だってする、便利な雑用係。

 人に嫌われるのも、人を傷付けるのだって厭わないんだから。