RECORD

Eno.330 ユラカイト・イチヤの記録

宿の寝床にて 2

「……とうとう買ってしまったか」







男が寝床で仰向けになりながら、一枚の券を取り出す。





__外世界渡航券





これを港で行きたい世界を伝えることで、
船でその世界に行ける……というものらしい。






あの巨躯の方の話が本当であれば、これを使って戻ることができるが……



それと同時に、この国の者とは会えなくなる可能性がある。






というのも、その船は一方通行のため往復などはできないし、
そもそもこの世界に来たのは本当に偶然だ。





弟子達の心配を払って刀を教えるか、この国でまだ戦っていくか。





……とても悩ましいが、やはり弟子達が心配でたまらない。












この券を使って、元の世界カイチのベッコモに戻ろう。












「……その前には、俺について話してからにするかのう。
 あ、あとはこの世界から離れることもな」














「……あ、そういえば」







男は何かを思い出したように、床に手を伸ばす。





……すると、そこに男が現れた。
いや、もう一人の男が現れた。





身長も、体つきも、左目の傷も



全て、同じだ。












「まさかこのために使うとは思わなかったな……」