RECORD

Eno.147 <白梟>の記録

訓練

「あぁ、負けてしまったか」



初めて娘と手合わせをした。
彼女はとても強かった。
歯が立たないな。
もっと頑張らねば。
これでは父として面目が保てない。
これではに勝てはしまい。

僕はの名を与えられた。
なのに才は人を救う医術だった。
いっそ、人を殺す才があればこんなに悩む事もなかったろうに。

「僕は何も成し得ないのか。
ハハ、まぁ仕方ないのかもしれないね」



灰が何かの残滓のように。
形と成すものではないように。
己だって何も残せないのだろう。
明るく周りを照らす娘の影として、支える事すらも。

腕の中で眠ってしまった彼女を抱き抱えたまま、昏い路を歩む。
暗い影は闇に溶け込むも、白い翼は融け込まない。
あぁいっそ。この身も夜闇に融けてしまえば──