RECORD

Eno.220 モルドの記録

それからここにいたるまで

今すぐ逃げよう。
男の言葉に、少女は首を横に振る。
一人で抱え込むことはやめたのだ。もっと確かに立ち向かえる。

具体的には、社会的に強い人物を頼る。
かつて世話になった孤児院へおもむき、院長に全てを打ち明けた。


ッカ~~~ッッッ食うに困らん養子先と思ったのに
ウチで育てたガキにナメた真似しくさってェ~~!!
斧持ってこい斧!オゥ行くぞガキども!案内しな!!


びしりと正装し、ぎらりと光る薪割り斧を背に隠した院長先生!
苛烈さに困惑しつつも、二人は心強い味方を屋敷に連れてゆく!

そして勃発! 暗黒カネモチ VS インチョー・センセイ!!

暗黒金持ちなど所詮子供の弱さにつけこんでいただけの小悪党!
かたや日々子供たちの腹を満たす金策を思考し続ける金の亡者!
異常バイタリティ老婆の策謀と恫喝(斧)の前に成すすべ無しッ!
なんやかんや暗黒商売ルートは解体し尽くされる!!された!!!

闘いは終わり、暗黒金持ち屋敷の実権は院長先生に握られた。
暗黒金持ちは、孤児院に貢ぐ金を稼ぐために生きる傀儡と化す。
お嬢様の養子の契約も、無事にキレイサッパリ解消したのだった。


これからは、メイドでなくなった男と、お嬢様でなくなった少女。
対等の立場で、新しい二人の物語を、一緒に生きていく。




……え 対等に? あれっ どうしよう 何て呼べばいいの!?
だってずっとお嬢様って呼んであああああああうわああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ


懊悩しつつも男は職を探し、農園に住み込みの仕事にありつく。
夜目がきくことを活かし、夜にやってくる猛獣から畑を守る仕事。
日が昇ったら借りた小屋に帰り、少女と入れ違いに就寝する日々。

暮らしてはいけるけれど、生活時間は合わせられず、
寝床も食事も用意してくれる都合のいい状態が続くとも限らない。
より良い未来のためには、力をつける必要がある。

そうしてここへ。再び闘技の地へ。今度は二人、一緒に。