RECORD

Eno.367 フィリア・バルナルスの記録

日記12


テンタティブが俺の部屋に泊まったり、フィーと女子会をしたりした。
楽しい!!!!



「なんだこのクソみたいな日記」





フィーの昔話を聞いた。
なんかダオドラ以上に蛮な場所で流石に引いた。
嘘だろ。あのスドナセルニア地方一の蛮な街の上があんの?


無秩序だった場所を力で治めた。
反抗する者も力でねじ伏せて従わせた。
聞いていて無茶苦茶だ、と思った。し、それができるフィーも凄いなと思う。

そんな治め方をしたから、憧憬の一方で畏怖の念を抱かれることも多いらしい。
だから友達らしい友達は全然いないのだと言っていた。


この人は寂しがり屋かもしれないけれど、足場がしっかりしていて踏みとどまれている。
心配しなくとも、フィーは強い。自分の弱さも自覚しているし、そのためにどうするかも考えられている。

だから、一緒に酒を飲んで、楽しい話で盛り上がって。
この場所で何でもない時間を共有できる『友人』であること。
それが望まれた形だし、俺もここを去るまで今のままの関係でありたい。
好いてくれる人は多いけど、気が合う友人は少ないから。
こういった縁の一つ一つを大切にしていきたい。






こっちはテンタティブの話。
海で散々な目に遭った後、帰ってから話の流れでふざけて

「今日あたしが危険な目に遭ってもしこのまま冗談じゃなく死んでたら、
 とか想像して怖くなって寝つきが悪くなるタイプだと思ってるよ」

なんて言ったら、めちゃくちゃ真に受けやがった。
何でこんな冗談をガチに捉えるんだよ。悲観的な印象があったけど悲観的すぎてフィリアちゃんびっくりしちゃった。

なんならそのままお泊りすることになった。この人は悪意がないので許した。


なんだか大きな子供だな、なんて思った。
怖い話を聞いて、あるいは想像して眠れなくなった子供みたいだと。
あの人は不器用すぎる。素直じゃない。だけど、分かりやすい。
捻くれているしすぐに暴言を吐くしはぐらかす。
一方でお人よしで面倒見が良くて、すぐに人のことを心配する。
だから、自分にとってちょうどいいのだと思う。

―― 私にとって、太陽は眩しすぎるから

後ろめたい感情。ほの暗い感情。
境遇の怒りや、弱肉強食の思想。
復讐心、なんて大層なものはない。今更己の過去を憂いる気持ちもない。
ただほん少しだけ、息がしにくいだけ。本当に、たったそれだけのこと。






「……そういえば。
 神って歳取るし、老化もするんだな」




なんなら病気にもなるし、薬も飲んでたし。
……抗精神病薬。飲む理由の推測はつく。
お人よしの死の神。合理的なシステムだと考えた自分を恨めしく思った。
治療が必要ということは、システムエラーが起きているということ。
合理的ではないから、不具合が起きている。




―― 嫌だ。苦しいままでいてほしくない。
彼の世界のことに介入することはできない。
せめてここで少しでも健やかに在れるよう演じるだけ。

―― 怖い。いつか壊れるんじゃないかって。
先のことなどどうしようもない。
人がいつか死ぬように、神もいつかは果てるのだろう。それだけのこと。


―― …………ねぇ、本心は?
……………………


「…………」


「……んなの、」


「…………ヤに、決まってんだろ…………」




―― 今日も、独りで。