RECORD
Eno.50 Liber·O·Igreedの記録
⨭
一方は身体を汚されて。
一方は最悪な事実を聞かされて。
兄弟そろってベソベソ泣いてる。

流石に復讐の気も失せたのか、長男は僕の指示にも素直に従って風呂場に行ってくれた。


顔も上げず、その水を受け取った。
僕との距離を開けている感じはする。
無理もない。ミカゼが苦手な物を、僕は強行してしまったのだから。


本当に僕が呼んだ声だけで状況を察してくれていた様だ。恐れ入る。


ようやく口に出せたものを、軽く返したものだから流石に睨まれた。

もうじき死ぬやつに、悪い物を全部乗せてしまえ。
生きる君が、少しでも気が楽になってくれればいい。
君のせいになんか、する気はない。


いつも通り軽薄な『愛してる』でも良かったのだが、此処で勘違いを招いても厄介だ。
『目的』は達成したから、いくら嘘のメッキを剥がされても後戻りは出来やしない。


暫く怪訝そうな顔で見上げ、ミカゼは溜息を吐いて帽子を深く被った。



木削子(コケシ)はミカゼにとって自虐だ。
子消し(コケシ)だもの。


そこで冗談を言える程、僕は自分のしたことの重さを分かってないわけではない。
一方は最悪な事実を聞かされて。
兄弟そろってベソベソ泣いてる。

「風呂沸かしたんでドーゾー。
服は合いそうな奴を見繕っておいたんで……」
流石に復讐の気も失せたのか、長男は僕の指示にも素直に従って風呂場に行ってくれた。

「はい。ミカゼは水」

「………………」
顔も上げず、その水を受け取った。
僕との距離を開けている感じはする。
無理もない。ミカゼが苦手な物を、僕は強行してしまったのだから。

「モニタリング、点けっぱなしにしてる?
何か指示あったら伝えてくるけど」

「……………聴劣化に何かあったから各個人で動け、と伝えてある。必要ない」
本当に僕が呼んだ声だけで状況を察してくれていた様だ。恐れ入る。

「………………何で、五奈に手を出そうとした?」

「何でだと思う?」
ようやく口に出せたものを、軽く返したものだから流石に睨まれた。

「悪いのは全部僕さ」
もうじき死ぬやつに、悪い物を全部乗せてしまえ。
生きる君が、少しでも気が楽になってくれればいい。
君のせいになんか、する気はない。

「………五奈の事は、好きなのか?」

「んー……いや、君には理解が難しそうだから、ちゃんと言おうか。
“いいえ”だよ」
いつも通り軽薄な『愛してる』でも良かったのだが、此処で勘違いを招いても厄介だ。
『目的』は達成したから、いくら嘘のメッキを剥がされても後戻りは出来やしない。

「………最悪だな、お前」

「その通りさ」
暫く怪訝そうな顔で見上げ、ミカゼは溜息を吐いて帽子を深く被った。

「許せる気はないというのに」

「俺も最悪だ」

「五奈が子供を産まなくて、ホッとしてる自分が居る」
木削子(コケシ)はミカゼにとって自虐だ。
子消し(コケシ)だもの。

「けど、やっぱり後で一発―― いや、十発くらい殴らせろ」

「ハイ……」
そこで冗談を言える程、僕は自分のしたことの重さを分かってないわけではない。