RECORD
Eno.367 フィリア・バルナルスの記録
日記17
観戦席で倒れたらしい。
倒れるまで追い込む方法は、確かに夢こそ見なかったけれど代償も酷かった。
ただ、乱れた野性をいっそ乱してしまい、高揚させて無理やり調律させるといった治療法は発見できたかもしれない。
自己と野性の境界線が曖昧になるから、できるだけ取ってはいけない方法だなとは思いつつ。
昨日のことはあまり覚えていないけれど。
記憶の片隅に、霞がかった先に。
想像でしか知らないはずの、自分を捨てたときの両親の表情に重なるそれがある。

獣は落ち着いた。
もう問題なく眠れる。また武器も握れるようになった。
だけど。やっぱり人は、簡単に……たった一つの要因で関係が崩れ落ちて、砂となって跡形もなく消えてしまうことだってある。
ちらついて離れない。
嫌われて、自分から離れていくのだと思って。
これ以上考えたくなくて、考えないように眠りについた。
どうか、嫌いにならないで。なんて。
自覚したくなかった……いや、自覚しているから、ずっと嫌いだったんだ。
ウサギは寂しいと死んでしまう。そんなデマを流した人間を許さない。
……私が、寂しがりやだと自覚があったから。
たった一人。一人だけ、頼れる先があればよかった。
それが深い関係でなくて構わなかった。生きるために、味方につけた人間が一人居ればそれでよかった。
それが、テンタティブだった。
たった、それだけのこと。
月を後ろから照らすのではなく。
誰も立ってくれない、隣に居て、なんて。
だって、初めてだったから。
助けて、と言っていい人がいるなんて。
バカみたいなやりとりをして笑いあって、お互いに何の遠慮もせずにいられる人がいるなんて。
こんなに、一緒に居て楽しい友人は初めてだったんだよ。
倒れるまで追い込む方法は、確かに夢こそ見なかったけれど代償も酷かった。
ただ、乱れた野性をいっそ乱してしまい、高揚させて無理やり調律させるといった治療法は発見できたかもしれない。
自己と野性の境界線が曖昧になるから、できるだけ取ってはいけない方法だなとは思いつつ。
昨日のことはあまり覚えていないけれど。
記憶の片隅に、霞がかった先に。
想像でしか知らないはずの、自分を捨てたときの両親の表情に重なるそれがある。

「……………………」
獣は落ち着いた。
もう問題なく眠れる。また武器も握れるようになった。
だけど。やっぱり人は、簡単に……たった一つの要因で関係が崩れ落ちて、砂となって跡形もなく消えてしまうことだってある。
ちらついて離れない。
嫌われて、自分から離れていくのだと思って。
これ以上考えたくなくて、考えないように眠りについた。
どうか、嫌いにならないで。なんて。
自覚したくなかった……いや、自覚しているから、ずっと嫌いだったんだ。
ウサギは寂しいと死んでしまう。そんなデマを流した人間を許さない。
……私が、寂しがりやだと自覚があったから。
たった一人。一人だけ、頼れる先があればよかった。
それが深い関係でなくて構わなかった。生きるために、味方につけた人間が一人居ればそれでよかった。
それが、テンタティブだった。
たった、それだけのこと。
月を後ろから照らすのではなく。
誰も立ってくれない、隣に居て、なんて。
だって、初めてだったから。
助けて、と言っていい人がいるなんて。
バカみたいなやりとりをして笑いあって、お互いに何の遠慮もせずにいられる人がいるなんて。
こんなに、一緒に居て楽しい友人は初めてだったんだよ。