RECORD

Eno.39 ウィーウムの記録

名前



以前ここへ来た時には名乗る機会は無かったが、
今回はその機会があり、少々どうしたものかと思っている。
闘技者としての登録名は何でもいいのだろうから
それは良いのだが、個人的に名乗る時のこと。

これは本当の名ではない。
だから「そう名乗っている」と半端な言い方をしている。
偽名で暮らしている者など珍しくもないだろうけれど……
いまだに少し、偽ることを後ろめたく感じてしまう。

いっそ本当であることにしてしまえばいい。
そうしたって誰も困らない。
本来の私の名を出す機会なんて今後ないのだから、
もう、必要のないものだ。


それでも、
私があの名を忘れてしまったら、ほんとうに……
ほんとうに、私がいなくなってしまう気がして。

必要のないものなのに、手放せずにいる。