RECORD

Eno.216 アヤト・キリシマの記録

暗影と黎明 3

数日が空いたが、ここまでの流れはこうだ。
黒コートの男は夢の中の存在ではなく、現実に存在していたこと。
俺と同じ背丈、黒い肌、白い髪、そして胸元にはシャドウの模様がついていたこと。
その男がモノマキアで戦っていたり、
先日はシアーナとやり合っていた、ということ。
シアーナ曰く、俺を探していた、ということ。

それ以降の足取りはつかめていないが、
いつまでも悠長に構えている場合ではない、か。


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「さて……」



ひと気のない路地を一人、男が突き進む。
はっきり言って宛てはない。
黒コートが潜むとするなら、この辺りか、という直感だけが頼りだ。

シアーナから貰った助言は、『情報を集めること』だ。
実際、現状は見えている手札が少なすぎる。
出来れば今は衝突したくはない。だが、せめて。
何か情報を掴めれば―

「よォ……こんなところでお散歩かい?
呑気なもんだなァ、ライザーさんよォ?」



背後から声をかけられる。
低くかすれた声色は、挑発的に笑っている。

「……!
……確証はなかったんだけどな。
直感ってのは当たって欲しくないことばかり当たるらしい」


「クク……そんなもんだろうよ……。
これまでだって、嫌な予感ばかり当たって、対峙するしかなかった。そうだろ?
カントウの時も、空港の時も、裏切りの時もな……」



カントウ、空港、裏切り。
どれも、俺が元の世界で体験した事件だ。
それを知っている、ということは、やはりこいつは元の世界由来のシャドウ……?

「質問をさせてくれ。
お前は誰だ。なぜ俺と同じ背丈をして、その大剣を持っている?
そして……その炎もだ」


「クク……そりゃあ気になるよなァ?
自分と似たような姿で、同じ技を使う。
そんなシャドウ、前代未聞だもんなァ……」



黒コートはクク、と笑いながら、言葉を続ける。
まるで、俺と出会ったこの状況すら愉しんでいるようだ。

「なら、もう一つ質問だ。
シアーナを襲ったのはお前だな?


「おいおい……襲っただなんて人聞きの悪いこと言うなよ。
喧嘩売ってきたから買っただけだぜ?俺様は。」


「まぁ、啖呵切ったうえであの様だったのは、
以前とは見る影無くて空しかったけどなァ?」


「…………」



シアーナの以前を知っている……?
やはり、こいつは……。

「ま、せっかく会えたんだ、お喋りばかりもアレだろ?
んじゃあ、答え合わせと行くかァ……。
霧島文人……構えな


「……くっ……!」



振りむき、大剣を構える。
対峙する相手は、色こそ違うが同じ姿をした男。
大剣による剣戟が、路地の奥から響き渡る……!


https://wdrb.work/bo5/battle_view.php?bt=bt_c8ef857ab148


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「はぁ……はぁ……くそっ!
似てるなんてもんじゃない……この太刀筋……ッ!」


「フゥ……フゥ……クク……。
これで分かったろ?俺様の正体が……」


「だが、あり得ない……!
そんなことが……!?」


「いーや、あり得ちまったんだ。
この俺様が、その証人だ」


「黒コート……!
お前は……お前、は……!」


「そうさ……俺様は――」



―オマエ自身、だよ。霧島文人。