RECORD

Eno.18 マネス・ミダスの記録

マネス・ミダスについて:妻より

「彼について語ってほしい?」

「いいよ、語ってあげる」

「彼はね、自分を化け物と思い込んでいる人間なの」

「英雄的な存在でありながら」

「生まれ持った村から化け物と定義され」

「その定義のまま己を決めつけて」

「青のおじいさまに助けられた後に、英雄性を。
 母親に無かった母性を。
 父親に無かった父性を。
 そして、人に与えられる優しさを。
 その全てを、青のゼェーレ様が」

「だから彼は、ゼェーレ様に固執してるの」

「いいえ、ゼェーレ様だけじゃない。
 きっと彼が気に入った相手には多かれ少なかれ、
 そういう面がある。
 それからそうね」

「彼はね。
 きっと、己を罰してくれる存在を求めているの

「己の鏡のような存在。
 己の事を何よりも理解してくれている存在であればなおいい」

「私の傷が最初だけど」

「次の傷をつける人はきっとそういう人」

「きっとね」

「ふふふ、楽しみ」

「だって、傷をつけられたら、彼もそうするもの。
 そうして絡まりあって、縛りあって、お互いを傷つけあう。
 それが一番、きっと好き」

「それを見れないのは、残念だけどね」