RECORD

Eno.164 メフィスの記録

念話記録

「さて、この術式を使うのは久々だが……」


「——フェレス、聞こえるか? オレサマだ、メフィスだ」


「…………」


「……兄さん?」


「よう、元気そうで何よりだぜ。
 早速なんだけどよ、今度魔界そっちに戻ろうと思ってるんだ。
 野暮用ついでにたまには父上殿オヤジにも顔を見せようかと思ってな」


「……へ? 一体何を言って——」


「…………」


「……そっか。でも今はやめた方がいいと思うよ。
 ちょっと前にいざこざがあって、父様の機嫌がまだ直ってないんだ」


「げっ、タイミング悪いな……。
 なら戻るのは今度にするか」


「……なあフェレス、オマエは大丈夫なのか?
 父上殿オヤジに八つ当たりとかされてねえだろうな。
 もし何かあったなら——」


「僕は大丈夫だよ。それより兄さんの方が大変でしょ。
 リティルさんとの契約も果たさなきゃだし、今は闘技者グラディエーターとして戦ってるんだから」


「いやまあ、それはそうなんだけどよ……」


「こっちのことは大丈夫だから、兄さんは兄さんのことだけ考えてて。
 まだ諦めてないんでしょ? あの夢のこと」


「あったり前だろ! 何せオレサマは未来の大悪魔サマなんだからな!
 いつか魔界の在り方を変えて——」


「はいはい。その戯言は聞き飽きたから。
 それじゃ、もう切るよ。こっちだって忙しいんだからね」


「……相変わらず辛辣だよな、オマエ」


「ま、いいや。久々に声を聞けて嬉しかったぜ、フェレス!
 また近い内に連絡するからよ。
 もしそれまでに父上殿オヤジの機嫌が直ったようなら、教えてくれよな」


「いつになるかはわからないけどね。期待しないで待ってて」


「……僕も久しぶりに声が聞けて嬉しかったよ。
 またね、兄さん」







「…………」






「……あれ?
 オレサマ、あいつにフラウィウスここにいることとか、話したっけ?」