RECORD
Eno.10 クロの記録
変わるものと変わらないもの
ここに来てもう一月ほど経っただろうか。生活は相変わらず悠々自適で天国みたいなもの。やりたい時に試合をやって、適度にFMを稼いでいれば何も言われることはない。
それどころか、食べきれない量の料理をシェアしてくる奴もいたりして、自分で殆ど支払わないことだってある。場所によってシェアする料理も様々だ。
個人的には、カフェで頼めるスイーツビュッフェ?甘くて色々食べられるのが好きかもしれない。
何となく、どことなく、自分が少し変わった気がする。初めは自分の名前なんてわざわざ言う気はなかった。どうせ試合前に名前を呼ばれるし、この名前に思い入れも何も無かったから。
親しみを込めて呼び名を付けられる奴が羨ましかったりもした。加えてそいつは死人だった。死人の癖に、生者の様な振る舞いに憧れる姿、これが憎らしく思ったりもした。
元の世界で最も嫌いな人種の一人である貴族も居た。立ち振舞いも貴族特有のやけに自信溢れる喋り方も、まんま俺が居た世界と変わらない。世間知らずの箱入り娘。そうにしか見えなかった。
この二人とは衝突もした。衝突と言うより、俺の一方的な鬱憤晴らし。元の世界で溜めに溜まって、行き場の無かった感情を皮肉たっぷりにぶち撒けた。相当な嫌味に聞こえたに違いない。
それでもその二人は、感情のままに現状を嘆き、どうしようもないと諦めていた俺を突き放すことはなかった。ほんと、どれだけお人好しなんだか……
それからは貴族のお嬢様に言われた、人に頼ること、この世界で知見を得ること、その意味を識るためにもなるべく関わりを持つことを試してみようと思った。
どんな名であれ、名前を持つこと、生きていることが羨ましいと言われ、少しはこの名前にも馴染むことが出来た気がする
……それでも、これを名付けた上官、アイツにだけは呼ばれたくはないけども。
こんな戦うことでしか生きられない言いなりの犬でも、少しは前を向けるだろうか。
諦めずに、仲間たちとあんな所から抜け出す。そんな夢を見ても良いのだろうか。
今はまだ、どうすればいいかは分からない。それでも希望を見出すことが出来るなら、俺に出来ることなら何だってやってみるつもりだ。
今のが変わったと思えたこと。でも、変わらないと思ったことも、一つだけある。それは――

――端無くも、狼少年の口元が緩む。飢えは決して癒えていない。
それどころか、食べきれない量の料理をシェアしてくる奴もいたりして、自分で殆ど支払わないことだってある。場所によってシェアする料理も様々だ。
個人的には、カフェで頼めるスイーツビュッフェ?甘くて色々食べられるのが好きかもしれない。
何となく、どことなく、自分が少し変わった気がする。初めは自分の名前なんてわざわざ言う気はなかった。どうせ試合前に名前を呼ばれるし、この名前に思い入れも何も無かったから。
親しみを込めて呼び名を付けられる奴が羨ましかったりもした。加えてそいつは死人だった。死人の癖に、生者の様な振る舞いに憧れる姿、これが憎らしく思ったりもした。
元の世界で最も嫌いな人種の一人である貴族も居た。立ち振舞いも貴族特有のやけに自信溢れる喋り方も、まんま俺が居た世界と変わらない。世間知らずの箱入り娘。そうにしか見えなかった。
この二人とは衝突もした。衝突と言うより、俺の一方的な鬱憤晴らし。元の世界で溜めに溜まって、行き場の無かった感情を皮肉たっぷりにぶち撒けた。相当な嫌味に聞こえたに違いない。
それでもその二人は、感情のままに現状を嘆き、どうしようもないと諦めていた俺を突き放すことはなかった。ほんと、どれだけお人好しなんだか……
それからは貴族のお嬢様に言われた、人に頼ること、この世界で知見を得ること、その意味を識るためにもなるべく関わりを持つことを試してみようと思った。
どんな名であれ、名前を持つこと、生きていることが羨ましいと言われ、少しはこの名前にも馴染むことが出来た気がする
……それでも、これを名付けた上官、アイツにだけは呼ばれたくはないけども。
こんな戦うことでしか生きられない言いなりの犬でも、少しは前を向けるだろうか。
諦めずに、仲間たちとあんな所から抜け出す。そんな夢を見ても良いのだろうか。
今はまだ、どうすればいいかは分からない。それでも希望を見出すことが出来るなら、俺に出来ることなら何だってやってみるつもりだ。
今のが変わったと思えたこと。でも、変わらないと思ったことも、一つだけある。それは――

「……あの頃の耳障りな悲鳴、楽しい狩りが忘れられないな……」
――端無くも、狼少年の口元が緩む。飢えは決して癒えていない。