RECORD

Eno.50 Liber·O·Igreedの記録

 石化抑制剤を四本打つと、慢性の石化でも治るらしいよ。

 思えば、先輩が石化抑制剤の倉庫で倒れているのを何度か見た。
 その理由を、この身で味わうとも思ってなかったが。

 変化は二本目から訪れた。
 全身の妙な熱感。息苦しさ。

 三本目を打った頃には、酷い目眩、吐き気、心拍数の上昇、体の震え。

 もはや立つのすら困難だった。

 僕ら、普段からこんなヤバイのを打ってたのだろうか、と疑問に思った。まあ、薬ってやっぱり何事も適量でないと害なだけなんだが。

 多分、これ。
 四本目打ったら死ぬんじゃないかって思った。

 治るというか、死んだら慢性の石化もクソもないよねというか。

 そういう噂。迷信。

 結果を言えば、自分は身体が大きい方で、運がいいことに四本打っても死なない量にはなってたみたいだが。
 恐らく、身体が小さかったり病弱だったら、死んでた可能性がある。

 四本目を手に取る。
 無意味で無駄と分かる瞬間が、やっぱり一番キツイ。

 気が向いたから。
 それだけで実行するには、あまりにも無謀だった。

 ただ、まあ。このくらいやってもダメだったという示しには、なるだろうか。
 やってどうするんだろう。君は僕に寄り添ってくれる事を選んでくれたというのに。

 やっぱりコレ、無意味だったな。
 急に思い立ってやるもんじゃなかった。


 もはや腕に刺す事はできなかったから。
 ペン型の注射器を、太腿に突き刺す。

 打ち終わって、注射器が手から零れ落ちて。
 そのままベッドに倒れ込んだ。

 意識はあるのに指一本動かせない。
 そんな、変な感覚。

 それでいて、首の石は消えることはなかったという、ね。