RECORD

Eno.809 フレイムスカージの記録

矮人の言葉

あんだよ、おめぇ。あの軟弱共の言うこと信じてやがんのか。
悪いこっちゃ言わねえ。エルフ共の言葉を信用すんな。

ああ、あいつらは確かにカーラーンを崇めたさ。やれ勇ましいだの益荒男だのと煽てたよ。
『只人共が何を言おうと、我々の記憶にあなたの栄光を刻み付けよう』だとかって?
『あなたを称える歌を、千年先まで伝えよう』だとか?

ああ、そりゃあ嬉しいだろうよ。
領民にすら愛想を尽かされたカーラーンには、喉から手が出る程欲しい言葉だったろうさ。

だが。
エルフ共は、あの軟弱な森人は、それで、何かしたか?

竜に森を焼かれながら、泣くばっかりで何もしなかったんじゃねえのか。
カーラーンが討伐を決めても、兵の一人、矢の一本すら出さなかった。そうだろう?
ただ歌って、泣くだけ。

いいか。
あいつらの言う『英雄』はな、『扱いやすい馬鹿』ってえ意味だ。
あいつらは、森を守るためにしか武器を持たない。
一度焼かれた森はそんで終わりで、意趣返しすらせんのだ。
犠牲を払って復讐をしたって、森は蘇らない。
それよか、自分たちが生き延びて、新たな森を育てるのが、あいつらのやり口なんだ。

手前らが住む森にすらそうなんだから、カーラーンや只人に対してなんて、わかりきってるだろうが。

カーラーンは、竜を殺さなくても良かった。
得をしたのは、エルフ共だけだ。