RECORD
Eno.367 フィリア・バルナルスの記録
『天津風 Ⅱ』
昔のヨーロッパこと、スドナセルニア地方。大陸からいくつかに分類される地方の中では最も栄えており、世界人口の約2割がここに集まっているとされている。
野性を利用し生きる人間には闘争本能が宿るようになった。それを満たすためにサヴァジャー同士の闘技場を最初に作ったのが、この地方に属するカルザニア王国であった。
今では野性を持たない人間はいない。そのような人間は、移り変わる世界の理に順応できず死に絶えた。今を生きる人間の全てが闘争本能を所有するわけではないが、獣の力を有する人間にとって戦闘は娯楽では済まされない。闘争は、必要不可欠な文化となっていた。
桃色のウサギは今でこそカルザニア王国を拠点としているが、その生まれは紅闘の都ダオドラ。凡そ現在のポーランドに位置し、スドナセルニア地方の中では過激派が集い、群を抜いて治安の悪い街だ。力こそ正義。力こそ尊重されるべきものであり、弱肉強食の四字熟語が似合う社会が築かれている。
戦えない者や弱い野性は見下されるため、戦いを苦手とする動物は暮らしていけない……かと思いきや、医療班として需要があるため、戦えない者たちも一定数いる。しかし戦えないかつ医療班でない者への当たりは大変強く、力なき者はただただ排他的に扱われる。
「もうすぐフィリアも5歳になるというのに、全く野性が発現しないわ」
「まあまあ。俺の血を引いて生まれてくれば、我が家からこのダオドラに名を馳せるサヴァジャーになること間違いなしなんだから」
フィリアの父親は、R2 F-Lionの野性を持つサヴァジャーであった。百獣の王たるライオンの野性は戦いに置いて優れた才能であったが、野性ランクが低く肉食獣としての強みをさして生かすことはできなかった。
母親は、P1 W-Rabbitの野性を持つ医者であった。このダオドラで医者を行っているが、戦いには向かないウサギの野性を持つため仕方なく医学の道を歩んだ者だ。ましてや野性のランクも低いため、医学を志していなければこの場所での扱いは底辺であったことだろう。
この街で弱き野性を持つ者の役割など、優れた野性を生み出すための『賭け』に利用される程度。両親のどちらかの野性を引き継ぐが、属性や強さは親の影響を殆ど受けないがため、次の代に彼らは託そうとしたのだ。
「ねぇねぇフィリアちゃん! 今日は何して遊ぶ?」
「カミールお姉ちゃん! じゃあねぇ、鬼ごっこしよ!」
「いーよ! それじゃあ野性は使わないようにするね!」
バルナルス家には2人の子供が居た。姉のカミールはP4 W-Rabbitの野性を持つ、穏やかで心優しい風属性の高ランクのウサギであった。妹のフィリアはまだ野性は発現していないが、こちらは少し臆病で人見知りをする女の子であった。
姉妹は仲睦まじく、穏やかな日々が流れていた。
野性を利用し生きる人間には闘争本能が宿るようになった。それを満たすためにサヴァジャー同士の闘技場を最初に作ったのが、この地方に属するカルザニア王国であった。
今では野性を持たない人間はいない。そのような人間は、移り変わる世界の理に順応できず死に絶えた。今を生きる人間の全てが闘争本能を所有するわけではないが、獣の力を有する人間にとって戦闘は娯楽では済まされない。闘争は、必要不可欠な文化となっていた。
桃色のウサギは今でこそカルザニア王国を拠点としているが、その生まれは紅闘の都ダオドラ。凡そ現在のポーランドに位置し、スドナセルニア地方の中では過激派が集い、群を抜いて治安の悪い街だ。力こそ正義。力こそ尊重されるべきものであり、弱肉強食の四字熟語が似合う社会が築かれている。
戦えない者や弱い野性は見下されるため、戦いを苦手とする動物は暮らしていけない……かと思いきや、医療班として需要があるため、戦えない者たちも一定数いる。しかし戦えないかつ医療班でない者への当たりは大変強く、力なき者はただただ排他的に扱われる。
「もうすぐフィリアも5歳になるというのに、全く野性が発現しないわ」
「まあまあ。俺の血を引いて生まれてくれば、我が家からこのダオドラに名を馳せるサヴァジャーになること間違いなしなんだから」
フィリアの父親は、R2 F-Lionの野性を持つサヴァジャーであった。百獣の王たるライオンの野性は戦いに置いて優れた才能であったが、野性ランクが低く肉食獣としての強みをさして生かすことはできなかった。
母親は、P1 W-Rabbitの野性を持つ医者であった。このダオドラで医者を行っているが、戦いには向かないウサギの野性を持つため仕方なく医学の道を歩んだ者だ。ましてや野性のランクも低いため、医学を志していなければこの場所での扱いは底辺であったことだろう。
この街で弱き野性を持つ者の役割など、優れた野性を生み出すための『賭け』に利用される程度。両親のどちらかの野性を引き継ぐが、属性や強さは親の影響を殆ど受けないがため、次の代に彼らは託そうとしたのだ。
「ねぇねぇフィリアちゃん! 今日は何して遊ぶ?」
「カミールお姉ちゃん! じゃあねぇ、鬼ごっこしよ!」
「いーよ! それじゃあ野性は使わないようにするね!」
バルナルス家には2人の子供が居た。姉のカミールはP4 W-Rabbitの野性を持つ、穏やかで心優しい風属性の高ランクのウサギであった。妹のフィリアはまだ野性は発現していないが、こちらは少し臆病で人見知りをする女の子であった。
姉妹は仲睦まじく、穏やかな日々が流れていた。