RECORD
Eno.367 フィリア・バルナルスの記録
『天津風 ⅩⅡ』
それからも、街を歩けば目で追われることがあった。
時々声をかけられて、同じように連れ去られそうになったこともあった。
やり返そうにもやり返しきれなくて、結局付き添いのやつに助けてもらったこともあった。
あの日以来、一人で出歩くことはなく、外に用事があるときは他の者も例外ではなく数人で行動するようにしたのだ。
助けられるたび、自力でどうにかできないたび、己の無力さを感じた。
どれだけ努力をしても、才能の差が埋まらない。
着実に強くはなっているというのに、戦いの土俵に上がるというスタートラインに未だに立てない。
それどころか、自分の身に降りかかる火の粉すら払うことができなかった。
サヴァジャーになるためには試験に合格する必要がある。
基本的に5歳以上であること以外の年齢制限はないが、大人になって18歳までに合格すればいいと考えられている。
中には子供のうちに合格してしまう者もいるらしい。



焦る必要なんてないことは分かっている。野性が弱く、人一倍努力をしなくてはならない。
己の弱さを感じるたび、己は無価値なのだと思い知らされる。
その負の感情から逃げたくて、強くなって楽になりたかった。
弱い者に価値はない。その事実を何度も何度も突きつけられる。
弱いから、手で払いのけることができない。
だから、強くなってそれを突き返せるようになるしかない。











時々声をかけられて、同じように連れ去られそうになったこともあった。
やり返そうにもやり返しきれなくて、結局付き添いのやつに助けてもらったこともあった。
あの日以来、一人で出歩くことはなく、外に用事があるときは他の者も例外ではなく数人で行動するようにしたのだ。
助けられるたび、自力でどうにかできないたび、己の無力さを感じた。
どれだけ努力をしても、才能の差が埋まらない。
着実に強くはなっているというのに、戦いの土俵に上がるというスタートラインに未だに立てない。
それどころか、自分の身に降りかかる火の粉すら払うことができなかった。
サヴァジャーになるためには試験に合格する必要がある。
基本的に5歳以上であること以外の年齢制限はないが、大人になって18歳までに合格すればいいと考えられている。
中には子供のうちに合格してしまう者もいるらしい。

タルタニア
「おいフィリア、流石にこれ以上の鍛錬は無謀だ。休め」

フィリア
「……休んでられっかよ」

フィリア
「俺は弱いんだ、全然強くなれてねぇんだ、休んでる暇なんてねぇよ」
焦る必要なんてないことは分かっている。野性が弱く、人一倍努力をしなくてはならない。
己の弱さを感じるたび、己は無価値なのだと思い知らされる。
その負の感情から逃げたくて、強くなって楽になりたかった。
弱い者に価値はない。その事実を何度も何度も突きつけられる。
弱いから、手で払いのけることができない。
だから、強くなってそれを突き返せるようになるしかない。

タルタニア
「……身体能力はいい感じに仕上がってきている。
後はそこに野性を添えるだけ、だが……」

タルタニア
「お前は無意識にブレーキをかけてしまっている。
共鳴型は己の野性と心を同調させるから共鳴型と呼んでいるのだ」

タルタニア
「お前自身の我が強すぎて、野性がねじ伏せられている。
強くなるには、その獣を飼い慣らし、共に生きなければならない」

フィリア
「…………」

フィリア
「……憑依型じゃねぇ俺は、強くなれねぇってことか?」

フィリア
「だから俺は……
タルタニアみてぇに、野性を使わずとも強くなれねぇってことなのかよ!」

タルタニア
「…………はぁ」

タルタニア
「フィリア。お前一回サヴァジャー試験を受けてみろ」

フィリア
「は……?」

タルタニア
「ここにいる奴らは良くも悪くも身内で野性も低い。
サヴァジャーではないものばかりな上、才能を否定された者の巣窟だ」

タルタニア
「一度、視野を広げてこい。なに、教えを叩きこむことも彼らの仕事だ」