RECORD
Eno.809 フレイムスカージの記録
料理人の言葉
あの子は可哀想だったね。
ああ、十二……三だったかな。そのくらいまでは、ここにいたんだよ。
一応は、旦那様の正妻の子で、嫡子じゃない?
だから皆、それなりに扱ってたよ。
赤んぼの頃は良かったよね。
乳母が育ててたわけだし、その頃は、実の両親なんて、あってないようなもんだからさ。
でも物心ついてくるとねえ。
ご自分の立場とか……乳母はお母さまじゃないって事、伝えない訳にはいかないじゃない?
乳母やってた子はね、そっちも可哀想だったよ。
呪いの子供の世話だってんで、まあ給金ぼったくってたのは褒められないけど、でも、竜の呪いでしょ?
周りから、ずいぶん煙たがられたみたいだよ。
呪いの子供なんて殺してしまえって、何故世話するんだって、直接言われてたこともあったね。
食事を捨てられたのも、一度や二度じゃなかった。
気付いたときは、あたしもこっそり作り直してやってたけど……気付かなかったことも、あっただろうなと思うよ。
旦那様は見ないフリだしね。
お子を生まれる前に流そうとしたことなんて、公然の噂だったし。
そんなだからさ。
子供自身も気付くんだよね。厄介者扱いされてるってことに。
御本人はよく食べる子でね。
食事が足りないと言っては、たまに厨房に忍び込んで来たんだ。利発で良い御子息だったよ。
ただ……ただねえ。あの髪も目も、ぞっとしないね。
話せば普通なのに、いつか火でも吐くようになるんじゃないかって、思わずにはいられない。
幸いだったのは、旦那様が早々に子供を手放したことだろうね。
伝手を辿って、遠方の騎士の家にやったって聞いたよ。
そこに盾持ちとして入れて、後は良きようにって。
子供の頃から騎士見習いとして、他家にやるのは、別に珍しいことじゃない。
そりゃあ、明らかな厄介払いではあるけどさ。
実家に居続けるより、ずっと良かったと思うね……。
ああ、十二……三だったかな。そのくらいまでは、ここにいたんだよ。
一応は、旦那様の正妻の子で、嫡子じゃない?
だから皆、それなりに扱ってたよ。
赤んぼの頃は良かったよね。
乳母が育ててたわけだし、その頃は、実の両親なんて、あってないようなもんだからさ。
でも物心ついてくるとねえ。
ご自分の立場とか……乳母はお母さまじゃないって事、伝えない訳にはいかないじゃない?
乳母やってた子はね、そっちも可哀想だったよ。
呪いの子供の世話だってんで、まあ給金ぼったくってたのは褒められないけど、でも、竜の呪いでしょ?
周りから、ずいぶん煙たがられたみたいだよ。
呪いの子供なんて殺してしまえって、何故世話するんだって、直接言われてたこともあったね。
食事を捨てられたのも、一度や二度じゃなかった。
気付いたときは、あたしもこっそり作り直してやってたけど……気付かなかったことも、あっただろうなと思うよ。
旦那様は見ないフリだしね。
お子を生まれる前に流そうとしたことなんて、公然の噂だったし。
そんなだからさ。
子供自身も気付くんだよね。厄介者扱いされてるってことに。
御本人はよく食べる子でね。
食事が足りないと言っては、たまに厨房に忍び込んで来たんだ。利発で良い御子息だったよ。
ただ……ただねえ。あの髪も目も、ぞっとしないね。
話せば普通なのに、いつか火でも吐くようになるんじゃないかって、思わずにはいられない。
幸いだったのは、旦那様が早々に子供を手放したことだろうね。
伝手を辿って、遠方の騎士の家にやったって聞いたよ。
そこに盾持ちとして入れて、後は良きようにって。
子供の頃から騎士見習いとして、他家にやるのは、別に珍しいことじゃない。
そりゃあ、明らかな厄介払いではあるけどさ。
実家に居続けるより、ずっと良かったと思うね……。