RECORD

Eno.58 ミオリッツァの記録

歩み

 救われなかった人々のことを語る者がいる。

 お前は人々を救うと言いながら救えぬ者はこうあるのだと。

 未だに不幸に喘ぐ人々のことを語る者がいる。

 お前は幸せを語り未来を説くが、そうでない者はこうあるのだと。

 寒さと空腹で死んだ人々のことを語る者がいる。

 お前の祈りは無意味であり、お前の行いは無意味なのだと。

 そうして私は正しさを知っているという者がいる。

 偽りの善を説く者よりも真実を語るのだと。




 だからどうした?




 救えぬ者を知らぬと思ったか。

 不幸が未だにあると知らぬと思ったか。

 寒さと空腹の辛さを知らぬと思ったか。

 お前の説く正しさを知らぬと思ったか。

 いかに正しき真実を語る者がいようとも、

 この行いと歩みを止める意味にはなりえぬ。




 

正しさと真実を語ることを誇るなら、世界の一つでも救って見せろ。