RECORD

Eno.18 マネス・ミダスの記録

神とは。

マネス・ミダスは一人、思考の海に浸っている。
何かあったときは、いつもそうであった。

歓喜に震える時。
悲しみに打ちひしがれている時。
喪失を覚えた時。
怒りにより、全てを黄金に染めた時。

遠い過去の記憶であり、今はそのどれもが色褪せている。
それから思い出すことも無かった。
無かったのだが――。

『──面白いでしょう?マネス様』

「……ええ、リブラ」



「神の愛は、偉大、でしたね」



思い出したようにつぶやく。
己の神に対する敬意も、変わっていない。
そして、その敬意を知る者は、ただ一人だけだった。