RECORD

Eno.330 ユラカイト・イチヤの記録

海にて








…ああ……軋む……






腕が……頭が……脚が…………




















行かなきゃならねぇのに……脚が海に行きたがってやがる…………






























ああ、海が呼んでいる。山が呼んでいる。






カイチが、ラムロンが。






行かなければ。行かなければ。






あの豊かな山に帰ろう。






あの豊かな海に帰ろう。






穢れのない、あの頃の葦原中国カイチに帰ろう。































やめろ。やめてくれ。






この世界にカイチはない。






カイチがなければラムロンもない。






果てに向かっても溺れ死ぬだけだ。






やめろ……やめろ……!

























「…っ、うわああああああああああああああああああああああああ!!!!」



























……彼が隠して持っていた、水浅葱の刀で身体を責め立てる。



煩わしかったあの声と痛みが、少しだけ和らいだ。



「んぐぅ!!ふゔぅぅぅぅぅ!!ゔゔぅぅぅぅぅっ!!」





言葉にならない声を出しながら、何度も、何度も。












……あぁ、いつの間にか痛く無くなってきた…………












……とりあえず、今すぐ海から抜け出さなきゃ…………













……はやく、行かなきゃ…………












みんなの、ところに…………






























……それからその日は、彼の姿を見ることはなかった。