RECORD

Eno.50 Liber·O·Igreedの記録

 友人の部屋は、薄埃が積もって。
 真ん中にドカっとプランターが置いてあって。
 ミカゼの趣味そうな物は全く無く。

 別人の、アリィー君の部屋だった。

「よくまあ、そのままにしておこうと思ったねぇ」



 故人の部屋なのだ。此処は。
 ミカゼは、大切だった人の一切を捨てられず。
 けれども全部を持ち帰る事ができず。

 僕に催促されてもなお。
 悩み続けてたわけだ。

「そのプランターは残すわけだね」


「ああ。元はといえば、これは俺が持ち込んだものだ」


「じゃあ、それ以外か」



 絵やビー玉だ、分別に悩むものが多々ある。とはいえ、これらをウッドカットに持ち帰った所で、倉庫のゴミになるわけだ。

「なあ、ミカゼ」


「分かってるとは思うけど―― 君が居なくなれば、これらはゴミだ」



「ああ。分かってる」


「それが嫌で、俺はこの部屋をとったんだ」


「心なく、捨てられるのが嫌で……」



「なら、心あって捨てよう」



 僕だったら、そうありたい。そんな一心で提案する。

「サトウさん宅でさ、使ってない登り窯があるの知ってる?」



「登り……窯?」



「陶器とか焼くやつ! ほら、城石の一部地域で皿作ってるの知らない?
 先代の人がソレ作ろうとして作ったけど、持て余してるんだって」


「それ借りてさ」


「全部焼いちゃおうよ」


「そしたらさ。
 焼いた煙が空まで登って、風で流されるんだ」



「……火葬場みたいだな」



「でしょー?」


「やろうよ」