RECORD

Eno.39 ウィーウムの記録

悔恨


私が思い出しては悔いているものごとはすべて、
遠い遠い国の、もう死んでしまった男のもので。
今更引きずっても仕方がないことばかりで、
何の役にも立たない、ただの重りだ。
いっそ忘れてしまえたら。


ほとんどすべてを忘れてしまっている彼女のことを……
ほんの少しだけ羨ましいと思うことがある。

馬鹿げたことだと、わかっている。
彼女の記憶が戻るようにと祈っているのだから。ずっと。



全部を思い出して、それから、
彼女がほんとうに幸せになれるように。
それまで彼女を守る。私が生きるたったひとつの理由。
つまらない重りばかりを下げて、それでも歩き続ける理由。

傍に居る以外に何も出来やしない私を、
彼女は慕ってくれ、幸せだと笑ってくれる。
それが嬉しくて、苦しい。