RECORD
Eno.307 ルカ&ファーディの記録
斬首剣
僕はエクセキューターのライセンスを持っている。
死が救いになる状況があることを教えて貰って、『その時』が来た時に最善を尽くせるようにと。
世間知らずの僕は、まだそれがどういう状況なのかぴんと来ない。
でもファーディもそういったものがあるのは否定はしないと言った。確かに存在するんだろう。
最初の動機はそれだけだったけれど、今は少し違う気持ちもある。
強くなりたい。
故郷でモンスターとして追われていた時、追っ手と戦っていたのはファーディだけだった。
優しい子だからきっと傷つけ合うのにも死なせてしまうのにも心を痛めていたはずだ。
でも僕は命のやり取りをするには心が弱過ぎた。だからファーディが全て引き受けた。申し訳なく思っている。
だからもし、万が一闘技でない戦いの火の粉がまた降りかかってきた時は、僕も戦いに伴う心の痛みを分かち合いたい。
明確に致命傷を与える斬首の剣を振るうことは、その面でも予行練習になる。
知り合いの皆さんとの試合で躊躇することにならないかが心配だったけれど、杞憂だった。
むしろその方が集中力が増すような心地すらする。
手を抜くのは無礼だ。観客にも、他の闘技者にも、教鞭をとってくれたウェポンマスターさん達にも、何よりその相手のひとにも。
それに技が洗練されていればいるほど苦しみを与えずに済むわけだから、自然と気合も入る。
ファーディは、僕が人を『死なせる』ことに慣れ切って人の心を失うんじゃないかって怖がっているみたいだけれど……。
大丈夫。そんなことにはならないよ。もしそうなったら、僕の体を取ってしまって欲しい。
◆◆◆
本当の戦いのときはモンスターの俺が全部引き受けるっつってんのによ。
素直に任せときゃいいのにルカはお人好しだ。
だが、ありがてえと思う。俺の心配が杞憂に終わるのを願うだけだな。
ただ慣れ切っちまうのも心配だが、
闘技抜きで使ったときの恐ろしさにルカは耐えられるだろうかって懸念もある。
試合と本物の殺しは何もかも違う。
『本番』までに斬っていい奴を斬って心構えを学んどくのが理想だがさすがに無理だな、それじゃ辻斬りだ。
……俺が戦いの場で見たことをいろいろ話して聞かせでもするか。泣かせちまわなけりゃいいが。
死が救いになる状況があることを教えて貰って、『その時』が来た時に最善を尽くせるようにと。
世間知らずの僕は、まだそれがどういう状況なのかぴんと来ない。
でもファーディもそういったものがあるのは否定はしないと言った。確かに存在するんだろう。
最初の動機はそれだけだったけれど、今は少し違う気持ちもある。
強くなりたい。
故郷でモンスターとして追われていた時、追っ手と戦っていたのはファーディだけだった。
優しい子だからきっと傷つけ合うのにも死なせてしまうのにも心を痛めていたはずだ。
でも僕は命のやり取りをするには心が弱過ぎた。だからファーディが全て引き受けた。申し訳なく思っている。
だからもし、万が一闘技でない戦いの火の粉がまた降りかかってきた時は、僕も戦いに伴う心の痛みを分かち合いたい。
明確に致命傷を与える斬首の剣を振るうことは、その面でも予行練習になる。
知り合いの皆さんとの試合で躊躇することにならないかが心配だったけれど、杞憂だった。
むしろその方が集中力が増すような心地すらする。
手を抜くのは無礼だ。観客にも、他の闘技者にも、教鞭をとってくれたウェポンマスターさん達にも、何よりその相手のひとにも。
それに技が洗練されていればいるほど苦しみを与えずに済むわけだから、自然と気合も入る。
ファーディは、僕が人を『死なせる』ことに慣れ切って人の心を失うんじゃないかって怖がっているみたいだけれど……。
大丈夫。そんなことにはならないよ。もしそうなったら、僕の体を取ってしまって欲しい。
◆◆◆
本当の戦いのときはモンスターの俺が全部引き受けるっつってんのによ。
素直に任せときゃいいのにルカはお人好しだ。
だが、ありがてえと思う。俺の心配が杞憂に終わるのを願うだけだな。
ただ慣れ切っちまうのも心配だが、
闘技抜きで使ったときの恐ろしさにルカは耐えられるだろうかって懸念もある。
試合と本物の殺しは何もかも違う。
『本番』までに斬っていい奴を斬って心構えを学んどくのが理想だがさすがに無理だな、それじゃ辻斬りだ。
……俺が戦いの場で見たことをいろいろ話して聞かせでもするか。泣かせちまわなけりゃいいが。