RECORD

Eno.50 Liber·O·Igreedの記録

 夜は交代で木を焚べる。
 ウッドカットの宿舎が近いんだから帰れって言ってんのに、お互い譲らず。風呂だけ入ってきて野外で寝る。

 気が合うんだか、コイツには負けたくないと思ってんのか。一人にはさせないという意識なのか。

 寝苦しい暑さの中、君から貰った石を額に乗せる。
 石の中で水のように揺らめく炎。君の欲。
 冷たい、君に似た体温。

 ミカゼに貸してと言われても、絶対に手渡しもしなかった。
 僕の物だから。





「それで、結局僕はシアーナ君に全部お酒取られたのよ!」


「あのアマ、半身動かないっていうのに渾身の蹴りよ!蹴り!!」



「さぞ蹴り甲斐があっただろうなぁ」



「酷くない!?」


「けど、結局体調悪くするからって、僕にビール返してくれたのよ〜っ」



「自分の体調を考えられるなんて、お前より頭が良いな」



「だから酷くない!?」







「ロック君がさ、紙飛行機を飛ばしたら足元に落ちてさ!」


「みんなでキョトーンだったよ、キョトーン」



「折り紙、かあ」



「君も持ってるよね、くっしゃくしゃの折り鶴」



「ああ。アリィーから貰ったんだ」



「アリィー君も、誰かから折り方を教えてもらったんだろうなぁ」







「で、お互いに寸打!
 まーじで痛かったんだよ、ファーディ君の拳」



「元はと言えば、お前が人を嗤うからだろ」



「だって、本当に面白かったんだもん。
 人間だったのに、造られたての魔導クローンみたいな反応なんだよ、ルカ君」



「けどお前、仲間の魔導クローンにそんな事しないだろ」



「羨ましかったんだよ。色々と」







「フォスラズル君、覚えが良くてね」


「教えた手話もスラスラ使えたんだよ」



「喋れるし補聴器で聴こえるのにお前が不意にやってるアレ?」



「君ってさ、そういう所デリカシーないよね」


「そうだけど、いざという時に使える言語なんだよ、これ」



「けど、相手が分からなければ意味なくないか?」


「そしたら結局、文字の方が確実性があるだろ」



「君はフォスラズル君以下だよ。7歳以下」



「はあ?」







「それでね、アンバーはさ……」


「……いや、やっぱりやめておくわ」



「何で」



「じゃあ君は、アリィー君の話してよ」



「断る」



「そういう事」







 木材を持とうとして、手をすべらせる。
 まるで力が入らない様に。

「…………」


「何事もなければいいなって、君の事だったのに」


「……僕に、来るのか」