RECORD

Eno.367 フィリア・バルナルスの記録

日記2

泣くようなことじゃないと思ってた。
確かに恐ろしいとは思った。やばいやつだとは思った。逃げ出しもした。
だけど、あんなに泣きわめくようなことじゃないはずだった、と思う。
それでも。はっきりと、得体の知れない『恐怖』を感じていた。


俺の世界では、『ペット』とは犯罪行為、あるいは異常嗜好の一つ。飼い慣らされ、人の尊厳を奪われた人間のことを指し、それを所有する人間のことを『飼い主』と表現する。
人間が監禁される事例はいくつかある。憑依型の異形化したパーツをはぎ取り、闇市に流通させるだとか、物好きな人間に高値で売り付けたりだとか。そのための人間を攫い、監禁する。それらをペットとして扱わないのは、飼い主が対象を『好意的』に見ているかどうかという線引きがあるからだ。

今住んでいる場所、カルザニアはそれこそ異常嗜好として取り締まっている。良く思わない人間が大多数のため、犯罪として成立している。
けれど、過去に住んでいた場所、ダオドラでは。弱い野性を持つ者に価値はなく、子を成して強き野性を産む『賭け』の道具とすら考えられる。否定する者は街を離れるか、郊外でひっそりと暮らすか、逃げ損ねて捕まえられるか。抗って暮らす者もいるが、街の者から向けられる目は零度の冷たさだ。


「トラウマ……ってほどでもねぇはずなんだけどな……」




向けられる悪意の目。強い力で掴まれる腕。
甘い言葉の先にある、ギラついて隠れていなかった醜い願望。

今ならそれをねじ伏せられる。それどころか己の可愛さを利用し振る舞える程度には気にしていないはずだった。

なのに、どうして今更。



なんてことはない。
ここはこちらの世界の常識が通用しない場所。
数多の世界からあらゆる者が集うが、『大多数の共通認識』がある。自分の居る世界は、その共通認識から外れている部分がそれなりに多い。
あらゆる齟齬が起きる。人間は野性など持っていない。動物は突然変異を起こす前の存在。木を素手で倒せる人間がほぼいない。武器を扱い力を補強する。




「……あぁ」


「怖かったんだな。まるで、自分がおかしいって言われてるみたいで」


「あの街を秩序通りにならなかった自分と、重なって」







だから。


「……あぁ、なるほどな。
 そうかい。クソだな、その街
「そりゃ怖ぇよな。
 変哲もない場所で、いきなり『普通』みたいな
 顔しながらペットがどうだか話し始めるんだ。
 ……あぁ、全部とは言わねぇけどさ。分かるよ」
「……怖かったな、フィリア。安心しろよ。
 ここにはそんなヤツいねぇだろうし、それに──。
 ──お前は強いし、最悪オレがいるから、な?」




私の事情に寄り添ってくれたこと。
私のことを否定しないで励ましてくれたこと。
私が否定していたことを、あなたも否定してくれたこと。

それに凄く、救われたんだ。


――――――
■フィリアちゃんの交流した人の紹介コーナー

「アヤト。俺の『あっち』のキャラが持って一週間とか言ってきやがった。
 失礼な野郎だが、困ったことに一週間も持たなかったとこある」


「あいつの前でも素の俺でいくことんなった。ありのままの方がいいタイプっぽいな」





「レイン。うーん、あんままだよく分かんねぇ。
 こういっちゃなんだが、意味深なオーラを醸し出してあんまり何もないタイプって印象を受けてる。話してけば印象変わるかもしんねぇな」





「負けたら爆発する男。名前聞きそびれた。
 負けたら爆発する改造人間。なんだよ負けたら爆発する改造人間って





「シアーナ。ステッキを持ってて、身体がかなりボロボロそうなやつ。
 正直戦わずにいてほしいんだけどな……」


「なんだろうなぁ、あれは無粋に踏み込まねぇ方が良い気がすんだよな……
 知らんフリで他人事に接するのがあいつにとってもいい気がする。気持ちよくはねぇけどな。
 とりあえず武器の指南は受けときたいな」




「あとは鍛錬所でおもしろそーなやつを見つけた。
 名前聞きそびれたっけな。聞いたっけな。やっべ、武器整備できそーなことしか覚えてね。今度もっかい会えそうだったら会いてぇな」





「それはそれとして
 アルハラバトルたーのしーーー!!!!