RECORD

Eno.39 ウィーウムの記録

良い主


私は彼女にとって良い主となれているのだろうか。
私は彼女を守りたいけれど、
しもべとしては、守られてばかりでは良くないそうで。

彼女を頼りにしていないなんてことはないが、
私のために怪我などして欲しくない。
重い荷物だって私が持てばいい。
寝床がひとつしかないのなら、彼女に使って欲しい。

彼女も同じようなことを思っているらしい。
主従関係というのは、どうあれば正しいのだろう。



思えば……
立場上は今とそれほど変わらなかったかもしれないが。
周りの使用人は皆、もっと上の者に仕えていたから、
私と直接その関係にあった者はいなかったように思う。
……どうだったかな。きっと、そうだった。
だから、上に立つ者の振る舞いが身についていない。
それでよかったから。

優しいだけでなく時に厳しくあらねばならないし、
常に毅然とした態度でいるべきであると。
その程度の理解はあるけれど実行できるかは別で。

私の気持ちは、ただ。
大切なものを、傷つけないように。そればかりで。
嫌われないように……、


この男はこんなに憶病だったのかと、
自身のことなのに、驚いている。