RECORD

Eno.367 フィリア・バルナルスの記録

『天津風 ⅩⅧ』

タルタニア
「―― 共鳴型の人間は、獣の心と共鳴して戦う。
 つまり、戦う意志がなければ、闘争意欲がなければ扱うことはできない


タルタニア
「お前は強くなることに拘ってこそいたが、野性への劣等感から力を押さえつけていた。
 その上闘争を他者に認めさせる手段にしか考えられなかったのだから、当然それは発揮されない」


タルタニア
「……だが、今はもう違うだろう?
 目指すべき姿も、望む未来もできた。お前は戦いたくて戦いたくてうずうずしているはずだ」


タルタニア
「それが、サヴァジャーにとって何よりも大切なものだと忘れるな」


フィリア
「……はいっ!」





ついに10歳になった。この世界では子供という守られる立場ではなくなり、大人という独り立ちする年齢だ。
心境が変わってからはまた暫く特訓を行っていた。というのも、野性という力の本質を利用すると決めたからだ。
戦い方が根本から変わったため、それを我が物にするための努力が必要だった。
が、土台がしっかりしていた分、使いこなせるようになるまでは早かった。

今度こそ、サヴァジャー試験に臨む。
初めて挑んだときのような不安や後ろめたい感情はなく、心から『舞台に立つ』ことを望む野心に溢れていた。



「それにしてもさ~
 可愛いって言って微妙な顔をしてたフィリアが、
 自分から可愛い恰好や仕草をモノにするって思わなかったよなぁ」


フィリア
「えぇ~? フィリアちゃん覚えがないなぁ~?
 そんなこと言ったかなあ~?」


言ってたんだよなぁ~
 すーっかりカミールの振る舞いが様になったよーでなによりだよ」


「カミールさんはあれが素なんだろうけどね」


「こっちはわざとかわい子ぶってる分あざといんだよな」


フィリア
「わはは! 使えるもんは使わねぇと損だからな!」


フィリア
「―― 弱ぇやつが強ぇやつに喰らいついてくためなら、
 俺は何だってやってやるよ」


フィリア
「ただし、俺の心と思想が許す範疇でな!」






その日、俺を担当したネコの試験官はこう口にした。


「随分と見違えましたよ、あの子。
 美しくしなやかに見せて、その本質は獣の荒々しい生きざま」


「知ってます? 笑って試験に臨む人って、将来有望なのですよ。きっと大物になるのでしょうね」



「えぇ、僭越ながら……ファンになってしまった。そう申し上げるより他にありません」