RECORD
Eno.211 ラビッシュの記録
変身
森に連れ去られた後の記憶は無い。
気付けば何時もの路地裏、
掃き溜めに投げ出されている。
あの出来事が夢でないのは鼻に残った甘く饐えた匂いが知らせている。
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突如脳裏に声が響く。
聞き覚えしかない、嫌で腹立たしさしか
湧かない声。
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目覚め立てで脳内に響く声に顔を顰めてしまうだろう。
そして気付く、顰められる顔が有る。
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キャハハ、と一層煩く笑い声を上げる。
貴方はまだ植物にされていない。
人間のままで居れている。
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あれやこれやとやんやか騒ぎ立てながら貴方の状態を説明する。
此処までは森に変えられた利益、
勿論不利益だって有る。
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間延びした声から一転、淡々と冷めた声に。
ただの子供にはどうしようもない事実。
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溜め息を吐く音、
娯楽好きの誰かが押し通した案らしい。
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逆らえる余地は微塵も無い。
逆らったら直ぐに植物に変えられる。
だから、甘い言葉を一つ。
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御前はもうただの子供ではない。
人を見下し嗤う妖精の力の一端を手に入れた者。
どう振るおうが自由、誰を殺そうが自由。
全てが妖精の娯楽になる。
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それだけ言えば妖精の声は聞こえなくなる。
見渡せば貴方の握っていたナイフが転がっていた。
森を直接害することをしなければ何をしても良い、誰にも邪魔されない力が有る。
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感傷に浸る間もなく続け様に妖精の連絡。
今度こそ本当に声は聞こえなくなる。
溜め息かそれとも舌打ちか何かしていれば
一枚、何処からともなく紙切れが飛んでくる。
拾えば薄汚れた外世界渡航券一つ、
まだ使えそうな状態。
此処に留まっても、他の世界に渡っても良い。
だって貴方は自由の身なのだから。
妖精に飽きられて森に引き戻されるその日までは。
気付けば何時もの路地裏、
掃き溜めに投げ出されている。
あの出来事が夢でないのは鼻に残った甘く饐えた匂いが知らせている。
あ、起きました?
突如脳裏に声が響く。
聞き覚えしかない、嫌で腹立たしさしか
湧かない声。
寝てる間に魂やら体やら弄らせて貰いました
此れで貴方はアオコちゃんですよ
目覚め立てで脳内に響く声に顔を顰めてしまうだろう。
そして気付く、顰められる顔が有る。
そ~れ~で~ラビッシュを直ぐ植物に変えちゃっても良かったんですけどぉ~
それじゃつまらないな~って思いまして~!
ですので人の形を保ったままにしたげましたよ!
感謝して下さいね~!
キャハハ、と一層煩く笑い声を上げる。
貴方はまだ植物にされていない。
人間のままで居れている。
ラビッシュはもう森の一人ですから~
幻覚出したり~蜜を出したり~魔素操って魔法も使えちゃいま~す!
それに~活力増強!傷も忽ち治ってしまいます!
体を一編に吹き飛ばされなきゃ死にませんよ~
後は~食べなくても大丈夫だったり~筋力上がったり~老けなかったり~?
あれやこれやとやんやか騒ぎ立てながら貴方の状態を説明する。
此処までは森に変えられた利益、
勿論不利益だって有る。
その代わり~もう魔女に頼って根を除去するのは無理ですよ
ラビッシュの体と魂全部まるっと森に変えましたから
後は~森を直接害そうとしたら殺します
間延びした声から一転、淡々と冷めた声に。
ただの子供にはどうしようもない事実。
なんで人間のままなのか?と思いませんでした?
簡単ですよ、ただの暇潰しですよ暇潰し。
貴方がアオコちゃんの目や耳になってくれるだけで娯楽にありつけますから。
どっかの誰かの提案です
溜め息を吐く音、
娯楽好きの誰かが押し通した案らしい。
と言うことなので森に来たくなければアオコちゃんを楽しませて下さいね
でなければ直ぐに回収します
逆らえる余地は微塵も無い。
逆らったら直ぐに植物に変えられる。
だから、甘い言葉を一つ。
もう貴方は見下され憐れまれるだけの子供では在りません
我々の力を振るえば誰しも恐れ誰しも殺せます
高慢な竜や薔薇の悪魔を越えられるかも?
単純な話、力を振るえば憐れまれないんですから
御前はもうただの子供ではない。
人を見下し嗤う妖精の力の一端を手に入れた者。
どう振るおうが自由、誰を殺そうが自由。
全てが妖精の娯楽になる。
何なら我々と心中する方法を探しても良い
ラビッシュ……いや、エリーゼ
貴方の選択を常に見届けていますよ
それだけ言えば妖精の声は聞こえなくなる。
見渡せば貴方の握っていたナイフが転がっていた。
森を直接害することをしなければ何をしても良い、誰にも邪魔されない力が有る。
あ、何か用が有ったら呼んで下さい
念じれば話せます、では
感傷に浸る間もなく続け様に妖精の連絡。
今度こそ本当に声は聞こえなくなる。
溜め息かそれとも舌打ちか何かしていれば
一枚、何処からともなく紙切れが飛んでくる。
拾えば薄汚れた外世界渡航券一つ、
まだ使えそうな状態。
此処に留まっても、他の世界に渡っても良い。
だって貴方は自由の身なのだから。
妖精に飽きられて森に引き戻されるその日までは。