RECORD
Eno.367 フィリア・バルナルスの記録
日記37
―― 暗殺者のバッジを得た
人殺しは許容できないし、嫌悪感も強い。けれど、戦闘スタイルとしてはそれと似ている。
R1-W Rabbitである限り、真っ向勝負はどうしても分が悪い。
鍛え続けた身体は充分な膂力を身に付けたが、圧倒的な力の前には敵うはずもない、か弱いウサギ。
だから、小細工が必要だ。
風に乗り、あらぬところから奇襲をしかける技術。
可愛さを利用して相手を油断させたところを狙う演技力。
影に隠れ、足音を消して的確に一撃を叩きこむ器用さ。
利用できるものは全て使う。
自分の力も、心理も。人の力も、心理も。そうして、フィリアという人間は『高み』へと君臨した。
嘘をつき続けた人生だけど、その嘘はアイデンティティだ。
あたしの演技はあたしの理想であり夢。
俺の演技は世界の秩序でありあるべき姿。
私は今日も嘘をつく。だけど。
このどれもがアイデンティティであり、嘘ではない。
『フィリア・バルナルスという人間』の意味では真だ。
ナイフはともかく。
三日月の剣は、よく馴染んだ。やっぱり俺はこういった守りつつも攻め手に出られる、その中でできることとできないことがはっきりしている堅実な武器が得意らしい。
―― 執行者のバッジを得た
これはシオンらしいな、と思って取りたくなったバッジだ。
エクセキューターはエキスパートを取っていて、スキレットは間もなく100勝、といったときにこの称号の存在を知った。
でっかいごっつい剣に関しても、彼とお揃いになるなと思えば扱う気になれた。
自分に対しては、さぞ似合わない称号だろう。
秩序を覆すことを夢見ているウサギが、秩序を守る側の称号を得るのはとにかく似合わない。
そもそもエクセキュータのエキスパートだって、あの人とお揃いになりたくて取ったわけだし。
スキレットしか……何でこの中にスキレットがあるんだ……?
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金髪のとある人間の言葉を思い返す。
そう。だから、私が目指す光は太陽ではなく、月だ。太陽はあまりにも眩しすぎるから。
暗き闇夜を照らす道しるべに。暗がりで道に迷った者が正しき道へと帰られるように。
明けない夜を穿てるように。
朝を、迎えられるように。
世界は存外に美しいのだと、知ってもらうために。
寄り添うにように輝いて、少しでも彼らが息をしやすくなるために。
え? じゃあお月様は夜に取り残されて可哀そうだって?
実は、お月様って真昼にも昇ってるんだよ。見えないだけでね。
相手を肯定するために、相手のアイデンティティを拝借する。
そうして少しでも、彼が自分を愛せられますように。
人殺しは許容できないし、嫌悪感も強い。けれど、戦闘スタイルとしてはそれと似ている。
R1-W Rabbitである限り、真っ向勝負はどうしても分が悪い。
鍛え続けた身体は充分な膂力を身に付けたが、圧倒的な力の前には敵うはずもない、か弱いウサギ。
だから、小細工が必要だ。
風に乗り、あらぬところから奇襲をしかける技術。
可愛さを利用して相手を油断させたところを狙う演技力。
影に隠れ、足音を消して的確に一撃を叩きこむ器用さ。
利用できるものは全て使う。
自分の力も、心理も。人の力も、心理も。そうして、フィリアという人間は『高み』へと君臨した。
嘘をつき続けた人生だけど、その嘘はアイデンティティだ。
あたしの演技はあたしの理想であり夢。
俺の演技は世界の秩序でありあるべき姿。
私は今日も嘘をつく。だけど。
このどれもがアイデンティティであり、嘘ではない。
『フィリア・バルナルスという人間』の意味では真だ。
ナイフはともかく。
三日月の剣は、よく馴染んだ。やっぱり俺はこういった守りつつも攻め手に出られる、その中でできることとできないことがはっきりしている堅実な武器が得意らしい。
―― 執行者のバッジを得た
これはシオンらしいな、と思って取りたくなったバッジだ。
エクセキューターはエキスパートを取っていて、スキレットは間もなく100勝、といったときにこの称号の存在を知った。
でっかいごっつい剣に関しても、彼とお揃いになるなと思えば扱う気になれた。
自分に対しては、さぞ似合わない称号だろう。
秩序を覆すことを夢見ているウサギが、秩序を守る側の称号を得るのはとにかく似合わない。
そもそもエクセキュータのエキスパートだって、あの人とお揃いになりたくて取ったわけだし。
スキレットしか……何でこの中にスキレットがあるんだ……?
「まあ、なんとか出来そうなカンジだし良いと思うけどね。でもあんまり嫉妬させ過ぎるんじゃないよ」
「心配しちゃうからね。自己肯定低いタイプは好きな人が輝く程に自分の昏さが照らされるから」
金髪のとある人間の言葉を思い返す。
そう。だから、私が目指す光は太陽ではなく、月だ。太陽はあまりにも眩しすぎるから。
暗き闇夜を照らす道しるべに。暗がりで道に迷った者が正しき道へと帰られるように。
明けない夜を穿てるように。
朝を、迎えられるように。
世界は存外に美しいのだと、知ってもらうために。
寄り添うにように輝いて、少しでも彼らが息をしやすくなるために。
え? じゃあお月様は夜に取り残されて可哀そうだって?
実は、お月様って真昼にも昇ってるんだよ。見えないだけでね。
相手を肯定するために、相手のアイデンティティを拝借する。
そうして少しでも、彼が自分を愛せられますように。