RECORD

Eno.367 フィリア・バルナルスの記録

『天津風 ⅩⅨ』

カミール
「合格おめでと~~~!!」


フィリア
「えっ、姉貴!? 何でいんだよ!?」


カミール
「タルタニアさんから試験があるって聞いてたの!
 だからここで待ってた!」


フィリア
「落ちてたらどうしてたんだよ……」


カミール
「大丈夫だって分かってたから。
 だから落ちるなんて考えもしなかったよ」




自分より姉貴の方が喜んでいる。この人は相変わらずブレないし、変わらない。
平和主義で争いを好まない、だから争わずに野性の本能を満たせられる術があればそれでいいと、人々に歌と踊りで盛り上げて満たす。
自分の目指す道は、それとは正反対だ。

けれど、姉貴はそれに反対しなかった。むしろ笑顔で後押ししてくれた。それがあなたの選んだ道なら、と応援してくれた。


とことん、愛されているなと思う。



カミール
「そうだこれ、合格のお祝いのプレゼント」


カミール
「大人になったお祝いもかねて。きっと似合うと思ったから」




手渡されたものは、深い蒼色の宝石の飾りがぶら下がったチョーカーだった。
よく見ると三日月のような模様が石の中にあり、まるで夜空を閉じ込めたように美しかった。


カミール
「上弦の月ってさ、縁起いいと思うんだ。
 いつかは満ちて、まん丸お月様になる」


カミール
「ウサギは月見て跳ねる。だから、願掛け。
 いつか願う未来に向かって飛び込めますようにって




―― 月をも砕く勢いで行くから。
ライブで言い放っていた言葉を思い出す。三日月はいずれ満ちて、夜空に真円を生み出す。
その願いを掴んで砕く勢いで、ウサギらしく風に乗って跳べと。


フィリア
「姉貴……」


フィリア
……あの、さ。
 あのときは……その、ちゃんと……言えなかったんだけどよ」



フィリア
「……ありがとう」


フィリア
「―― 俺、姉貴の妹でよかった」




早速身につけたそれは、今でも大切なお守りだ。