RECORD
Eno.367 フィリア・バルナルスの記録



風に乗る、は間違ってはいないのかもしれない、と考察しつつ。
例えば火属性の人間は、己が発する火で燃えることはない。
水属性の副属性、氷属性を扱う人間は、己の冷気で凍てることはない。
それと同じで。風属性の人間は、己の吹かせる風に吹き飛ばされることはない。
―― 吹き飛ばされることがないのであれば。風そのものと同化することはできるのでは?
かつては人間はウマに乗って移動していたのだという。
ウマを風で例えれば、風を操れない人間はウマに体当たりされることを示す。
けれど、自分たちはそうではない。風にまたがり、共に進むことができる。の、だろう。
それを、姉貴は感覚で行っている。この感覚を、『風と友達になる』と表現しているのであれば。

己の吹かせる風の軌道をイメージする。
風は、己自身でもあると。空を駆け、吹き抜けるそれと共になれと。


最初の方は、それこそ風を吹かせてぴょんぴょんと跳ねまわる、端から見ても何をしているかよく分からない有様だった。
なんせ、やってのけている人が感覚でしか説明できないのだ。そもそもこの考察の真偽も分からない。
それでも、続けた。
憧れに近づくために。月に向かって跳ねるために。
すっ転んで大きい擦り傷を負うこともあった。風が暴発して吹っ飛んだこともあった。
コントロールできていないものは、流石に自分にも影響が出る。
サヴァジャーとして戦いながら、成果が出るかどうかも分からない練習を続けた。

確かな、感覚。
風に乗った身体が浮いて、前方へと跳んだ。

2か月続けた頃。
それは、確かに芽を出した。
そうして姉のヒントを得て、動きを研究し。
ウサギは己の野性や吹きすさぶ風を利用し、空を飛ぶことを覚えた。
三次元的に戦うことを覚えれば技巧として実力となり、勝利を重ね初めていった。
将来性がないと親に見放されたウサギは、サヴァジャーになってからたった1年で随分と高みへと君臨した。
何であんな奴が。ランクが低いくせに生意気だ。蔑む声が多い一方で、弱いランクの者には自分たちでもサヴァジャーになれるのだと希望を与えた。
そうなったときに。フィリアには、次の夢があった。
『天津風 ⅡⅩⅠ』

フィリア
「俺の仮説だけど」

フィリア
「自分を風そのものとして扱ってんじゃねぇのか……?」

フィリア
「それを、風と友達になるだとか、風に乗るだとかって表現してるんだったら」
風に乗る、は間違ってはいないのかもしれない、と考察しつつ。
例えば火属性の人間は、己が発する火で燃えることはない。
水属性の副属性、氷属性を扱う人間は、己の冷気で凍てることはない。
それと同じで。風属性の人間は、己の吹かせる風に吹き飛ばされることはない。
―― 吹き飛ばされることがないのであれば。風そのものと同化することはできるのでは?
かつては人間はウマに乗って移動していたのだという。
ウマを風で例えれば、風を操れない人間はウマに体当たりされることを示す。
けれど、自分たちはそうではない。風にまたがり、共に進むことができる。の、だろう。
それを、姉貴は感覚で行っている。この感覚を、『風と友達になる』と表現しているのであれば。

フィリア
「――、」
己の吹かせる風の軌道をイメージする。
風は、己自身でもあると。空を駆け、吹き抜けるそれと共になれと。

フィリア
「…………わ、」

フィリア
「わっかんねぇ……!!」
最初の方は、それこそ風を吹かせてぴょんぴょんと跳ねまわる、端から見ても何をしているかよく分からない有様だった。
なんせ、やってのけている人が感覚でしか説明できないのだ。そもそもこの考察の真偽も分からない。
それでも、続けた。
憧れに近づくために。月に向かって跳ねるために。
すっ転んで大きい擦り傷を負うこともあった。風が暴発して吹っ飛んだこともあった。
コントロールできていないものは、流石に自分にも影響が出る。
サヴァジャーとして戦いながら、成果が出るかどうかも分からない練習を続けた。

フィリア
「――、」
確かな、感覚。
風に乗った身体が浮いて、前方へと跳んだ。

フィリア
「―――― っ!!」
2か月続けた頃。
それは、確かに芽を出した。
そうして姉のヒントを得て、動きを研究し。
ウサギは己の野性や吹きすさぶ風を利用し、空を飛ぶことを覚えた。
三次元的に戦うことを覚えれば技巧として実力となり、勝利を重ね初めていった。
将来性がないと親に見放されたウサギは、サヴァジャーになってからたった1年で随分と高みへと君臨した。
何であんな奴が。ランクが低いくせに生意気だ。蔑む声が多い一方で、弱いランクの者には自分たちでもサヴァジャーになれるのだと希望を与えた。
そうなったときに。フィリアには、次の夢があった。