RECORD

Eno.50 Liber·O·Igreedの記録

 偽装死を頼み込んで。
 ルカ君の手を汚させて。

 元の世界に別れを告げて。
 5年も付き添ったミカゼと離れて。

 今、幸せだと言う僕の口。
 惨いなって、思うことがある。

 人を汚して、友人すら離して。
 それで得たのは、たった一人の最愛の人。

 騙して、嘲笑って、嘯いて、煽って。
 親愛を寄せてくれた人すら、踏み台にしている。

 最悪だよ。ああ、僕はカスさ。

 ルカ君の手が血に汚れようと、ファーディ君が乗っ取った身体が首を落とされようと。
 愛した人を失ったミカゼが孤独になろうと。

 僕はアンバーの前で、愛しく微笑んでしまうんだ。
 君たちが頑張ってくれなかったら、僕はアンバーを抱き締められなかったよって。

 酷い話だね。
 僕はそれでいいって思ってる辺りが、またさ。

 感謝はしてるよ。本当さ。

「ああ、そうだ」


「書き溜めた紙、どうしような」



 死ぬ前に僕の過去を綴って、いつかミカゼが見つけてくれたら良いなと思ってた物たち。
 もう死ぬことも無くなってしまったから、見せる必要も無くなって。

 恥ずかしいから、やっぱり本に挟んでおくか。
 一番読んだ『波のしくみ』って本。ふと思い出した時に見つけたら良いかなって。


 僕とミカゼは最初から真逆だった。
 高身長と低身長。魔導クローンと純人間。
 ホームレスと大家族。お喋りな口に、喋らない口。

 愛した人を得た僕と、愛した人を失った君。

 短命だった僕は、君の命を越えてしまう事もあるのだろうか。
 それだけは、嫌だけど。

 君は、愛した人の所に行きたいよな。
 あの白い花に囲まれて、きっと土に還りたいと思ってる。
 だから一緒に行こうとは言えない。

 僕の愛が、沢山の人に迷惑をかけている物として同じ様に。
 君の愛を、邪魔することなんて出来やしないさ。

 だから、サヨウナラなんだ。
 またいつでも会えるけど、君の後ろに立ってる僕は居ないのだから。

 またねって言うのは、リベルの僕だから。