RECORD

Eno.220 モルドの記録

二人の時間 18

「あなたをメイドにしたのも、
 変わった格好をさせて、私以外を遠ざけるためだったの」

「えっ、執事の服が似合わなかったからじゃ……」

「似合っていたわ。だから他の人に見せたくなくて。
 ……ごめんなさい。私、意地悪ばっかり」

「そ、そんなのいいよ。それより、もしかして、
 男がメイドの服を着るのは、おかしかったの?」

「……不思議と似合っていたわね。メイドの服も」

「よ、よかった」

「でも、もう普通の格好をしていいのよ」

「……」

「屋敷を出たあともそういう服なのは、私のため?」

「……男の格好だと、怖いんじゃないかなって……」

「そうね。男の人は、まだ少し、怖いわ。
 でもね、モルド。ちょっと手を貸して」

「えっ? わっ」


・ ・ ・

「……ふふ、冷たい手」

「きゅ、吸血鬼なので……?」

「この温度は、怖くないの。
 この体温は、あなたしかいないから」

「……」

「だから心配しなくていいのだけれど……。
 そんなあなただから、安心できるのかもね」

「……そっか。それなら、よかった。
 ところでいつまで手を貸していれば」

「まだ」

「あぅ」

「手が熱くなっちゃう?」

「……あったかいです」

「じゃあ、もう少しこのままね」

「はい……」


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モルド
ふつうの人間より体温の低い、青い肌をしている。

マギー
いろいろあって男性が怖い。けれど幼馴染は平気。