RECORD

Eno.220 モルドの記録

宿の外にあった光景

二人で過ごした、ある日の光景たち。


一人の闘技者の男と、その付き添いの少女が歩いている。
隣り合いながら、歩く速さは少女に揃えて、ゆっくりと。
飲食街の通りから見える海の青さを眺めて、のんびりと。
穏やかに時を過ごし、おなかがすいたらカフェテラスへ。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-06-02


あたたかな陽が差し込む公園、木陰のかかったベンチに。
一人の闘技者の男と、その付き添いの少女が座っている。
同じ飲み物を頼み、隣り合って、のんびり味わいながら。

足元を通る野良猫。枝に止まる小鳥。風に揺れる花や草。
同じものを一緒に眺めて、たわいないおしゃべりをして。
あたたかな陽気につつまれていれば、やがてうとうとと。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-06-12


穏やかなおやつの時間、どこかの飲食店のテーブルに。
一人の闘技者の男と、一人の少女が一緒に座っている。
それぞれ別の物を頼み、いくらか食べて、はんぶんこ。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-06-24


海辺の砂浜を、闘技者の男と少女が歩く。
砂に足をとられて転ばぬよう、手を繋ぎ。

陽を反射しきらめく水面を静かに眺めて。
海を渡ってくる潮風の音を静かに聞いて。
足休めに入った露店で焼きそばをすする。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-07-11


土産物屋。菓子の棚の前。とある男女が一組。
商品の見本を手に取ったり、箱の絵を見たり。
小さな声で相談しつつ、これがいいだろうか。
贈る相手を思い浮かべ、あれがいいだろうか。

そうしてたっぷり悩み、土産の吟味を終える。
けれど食物だから、買うのは帰る時にしよう。
今日のところは自分たち用の茶菓子だけ購入。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-07-29


友人の働く洋服屋。そこからの帰り道。
二人並んで、宿へ向けての道を歩く。
それぞれの買い物袋を片手に提げて、
空いた片手は相手の手をとるために。

丈夫そうな良い服が買えてよかったね。
みんなでお喋りもできて嬉しかったね。
楽しんだ時間をあれやこれや振り返り、
つないだ手をゆらゆら揺らす、帰り道。

そんな日があった。

     MESSAGE 2024-08-24


飲食街の露店の席で、男女が一組、軽食をとっている。  
おいしいね、楽しかったね、なんてお喋りしながら。

傍には長い棒と洋杖がくくり付けられた大きな鞄。
長い滞在のお土産がたくさんつまった、大荷物。

サンドイッチをはんぶんこして。
甘いものもはんぶんこして。
飲み物も一口交換して。

食事を終え席を立つ。
荷物を持って。
振り返る。

「ありがとうございました」

それは馴染んだ景色に向けて。
お世話になった飲食店に向けて。
ここで時間を共にした友人に向けて。

そうして前へ体を向ける。港へ向かう方角へ。
荷物で塞がっていない手で、連れの少女の手を取り。
二人並んで歩き出し、通りを、闘技の国を、あとにした。

     STREET 2024-09-04


闘技の国の港。青空の下、出航を待つ船の上。
男女が一組、闘技場のある方角を眺めている。

あの食べ物おいしかったね、また食べたいね。
あの飲み物もおいしかったよね、作れるかな?

景色のいい国だよね、お散歩が楽しかったね。
海もきれいだったね、今度は水に入ってみる?

闘技の外にあった、二人の時間を振り返って。
語らっていれば、やがて出航の汽笛が鳴った。

名残惜しむように、陸地に向けて手を振って。
感傷を振り切り、船の進む方向に顔を向ける。

このさきに、帰る国がある、進む未来がある。
一緒に歩いていく。これまでも、これからも。
二人の時間はどこまでも、ずっと続いている。

     MESSAGE 2024-09-04


BO5 -SEASON 1-
ENo.220 2024-05-18~2024-09-04