RECORD
『支配』大迷宮
「――で?」
「あれだけ迷惑かけておいて詫びに来なかった理由が
外の人間と引き離されるのと『支配』を受けるのが嫌だったから?」
「随分とふざけたことを考えるじゃないか、『偏愛』の残骸。
……気がついていないと思っていたのか?
確かに魂のガワは変わっていなかったが言動が別人のように変わり、
内側の魂が死んだように萎んでいた。
それだけわかれば迷宮ならすぐに察せる」
「根を握っている迷宮から徴収しても『偏愛』には要求しなかった。
配下ではない『偏愛』が俺の中を歩くことを許していた」
「迷宮が理由もなく他の迷宮に情けをかけるわけがないとわかっているだろう。
お前はいつか俺の物になる未来が決まっていたから見逃していただけだ。
だというのに少し外に出ただけで反抗的な考えをってしまうとは、
こうまで影響を受けやすいと、いっそ憐れとすら思わされる」
「だが、外の人間に毒されて俺の『支配』から逃れようとするなら甘やかしてやる理由はない」
「お前は俺の物だ」
「俺の支配領域に根を張ったんだ。拒むことは認めない」
「俺の配下に相応しい形に整えてやろう」
「もう二度と外になんて出してやらない。
お前は一生俺の一部として最奥で囲う。
この領域の主である俺が、お前の役割をそうと定めた」
「はははっ、泣くほど嬉しいのか?」
「よ~しよし、かわいいところもあるじゃないか」
「……かわいそうに」
「今までの分を徴収するついでに外のことは、全て忘れさせてやろうな。
今までの記憶を全て消して、初めからここで生まれたことにして、今度こそ幸せに暮らそう」
「外は……外の魂共は、全部他者を利用できるか否かでしか考えない。
お前は外の連中に騙され、誘導され、懐かされていただけ」
「抵抗するな。それはお前には不要なものなんだ。
今は苦しいだろうが、忘れれば楽になれる」
「俺がお前を救ってやるから」
「俺の領域で生まれたお前は、初めからこうあるべきだったんだ」