RECORD

Eno.10 クロの記録

丸められた紙切れ3

 
××月◯◯日
あれから俺は、野営地を目指して歩き、何とか辿り着く事ができた。
幸いにも、俺達の軍はまだそこに留まっていた。
更に幸運なことに、アイツも引き上げた後らしい。少し安心した。

皆には大層驚かれた。先陣を切って活躍していた俺が突然居なくなり、エラく混乱したとか。
それでも今回は勝って当たり前の戦力差。加えて夜明け前を狙っての急襲だった。
俺が防衛網を突破したことで被害も少なく、短期決戦となったようだ。

とはいえ、こっちだって無事では済まなかった。
俺と一緒だった決死隊の皆は軒並み戦死。
名前を知ってるやつ、俺よりも若いやつ、恐怖に震えていたやつ、全員だ。

こちらの軍の死体は全て回収、処理しろとの命令を下されていたらしい。
…通りで俺達の兵の死体が見つからなかったわけだ。
今回はみんな生き延びた――少しでもそう願った自分に嫌気が差す。

けど、腐ってばかりは居られない。
こんな思いをしなくても済むよう、俺が何とかしなきゃいけない。
皆が無事にここから逃げられるように、何か手立てを考えないと。