RECORD

Eno.10 クロの記録

読みにくい紙切れ

◯◯月××日
近いうち、大規模な作戦を展開するという噂を耳にした。
その辺の小さな小競り合いなんかじゃなく、かなり大掛かりなんだとか。
それには俺達少年兵の部隊も丸々駆り出されるらしい。これはチャンスかもしれない。

まずは俺達の部隊と、監視を兼ねた傭兵部隊のみで戦場から少し離れた場所に野営地を作る。
本隊が来るまでそれから数日は掛かるはずだ。
――そう、それこそが狙い目になる。

俺達を見張る傭兵部隊は所詮金で集められた集団だ。内部事情まで詳しくない。
真面目に設営するフリをして、所々に爆薬やスモークを仕掛ける。
頃合いを見計らって、わざと敵襲の合図を鳴らし、一気に起爆させる。
何も知らない傭兵共は慌てふためいて、大混乱するはずだ。
それでも勘付く奴は俺が相手をすればいい。その隙に仲間を逃がすんだ。

この近くには軍事干渉しない、中立の国もある。
そこまで逃げ切れさえすれば、保護を求める事だって出来るはず。
それだけじゃない。方角は逆だけど、あっちの方には……
……いや、噂なんて鵜呑みにするべきじゃないな。絶対に成功させなきゃいけないんだ。

こっちに帰ってきて、話すことで理解してくれる奴は沢山居た。
もちろん、すぐに打ち解けられたわけじゃない。それなりに時間は掛かった。
それでも、以前よりも…いや、以前と比べられない程に俺達は団結出来たんだ。
この機を逃したら次がいつ来るかなんて分からない。やるならここしかない。

大丈夫、絶対に成功する、成功させる。
俺が言い出したんだ、必ずやり遂げて見せる。

一人でも多くの仲間を逃がすんだ。どこか遠く、戦争なんて縁のない場所に。
武器なんて持たないで済む国へと。
誰も血を流さなくていい、笑い合える場所に――