RECORD

Eno.977 浮椿の記録

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「朔や、朔。ごらん。椿が咲いている」

「母上どの、そこに立ち入っては父上に怒られてしまいます」

「朔、いいじゃないか。すこしくらい。ほうら、なんて良い香りなんだ。」



「朔や、朔。おまえは影代のうつわになるのだね」

「名誉なことではありませんか。なぜ泣いておられるのですか。」

「庭先の椿が、もうじき枯れるのよ。」




「朔や、朔。どこにいるの」