RECORD

Eno.220 モルドの記録

メイドをやめる吸血鬼

お日様はそこそこ平気で、銀も流水も平気。
にんにくの味もなんか気付いたら平気だった。

せいぜい血をおいしく感じる程度の怪物性。
脅威を失い、狩られずに済む世代の吸血鬼。

それがのんきに生きていた。
裕福な屋敷で、お嬢様と一緒に、飼われるように。

お嬢様の命令で闘技場に訪れ、少し強くなった男。
国に、屋敷に帰り、元のメイドとしての暮らしに戻る。

そのはずだった。


「モルド、聞いてほしいことがあるの」

その日、男はお嬢様の部屋に招き入れられる。
促されるまま腰掛けたソファーで、彼女の言葉を待つ。
隣に座る少女は、どこか緊張した横顔を見せていた。

「あのね……」


メイドとお嬢様の物語は終わりを迎える。
その時が来た。