RECORD

Eno.58 ミオリッツァの記録

道楽日記その4

 この世界に来て美味そうに酒を飲む者をようやく見た気がする。
 どの世界でも酒と人間は数千年付き合うのだから、飲める者は飲んで楽しめばよいのだが、酒場に行ってみると酒の味も関係なしに飲む者が多い。
 数千年生きた者として、美味い飯と美味い酒を楽しむ余地が彼ら彼女らに産まれればよいと思うが。
 それに浸って醜く腐り果てるよりは、苦しみ藻掻き、足掻いている今の方が美しいのはいつもの悩みどころじゃ。

 まったく、我ながら歳を重ねて我が儘になってきおった。
 後悔する前に使える奇跡がいくつあるかくらいきちんと確認しておくか。
 数千年、歩いてきた道じゃ。儂はこの道、黄金律の道をこれからも歩くぞ。

 他の道など、知らぬからの。