RECORD

Eno.321 ロトリアシア・メイラースの記録

吐き気

 
酒に酔ってもされたことないのに、部屋まで送ってもらうなんてな。
流石にオイルなんか飲むもんじゃないってことか。
目の前で飲んだときのノアの顔、ヤバかったな。夢に出そうだ。出ないでほしい。

横になってもまだ気分が悪い。吐き気がする。
当然だ。飲み込んでいいものじゃない。後で吐くか。
まだ、眠くなるまではこのままでいたいけど。

吐き気がしてるほうが幸せなんだ、みたいに言ったら、あいつらには「ぶつかって誰かさんと中身が入れ替わったか」なんて心配されそうだ。
別にそんな趣味があるわけじゃない。
何も感じないのが嫌いなだけだ。

吐き気がすること。吐きたいような味をしていること。
目が合うこと。会話が続くこと。
濡れて冷えること。自分と違う考えで動くやつがいること。
歩けば足が疲れること。食わなきゃ腹が空いていくこと。
そういうのがないと、落ち着けないだけ。


風邪で寝込んでるときみたいな考え込み方してんな。
気分悪いからだろうな。
普段動かさねえ筋肉使って免疫落ちて本当に風邪引きかけとかで調子悪い、とか全然あり得るけど。

不自然なでけえ音聞いたからって落ち着けなくなるわけないはずなのに、なんで今日は駄目だったんだろうな。
ドーニャがいなかったから? いや、エルもノアもいた。
風邪かもしれないから? 違う。いや、……違う。違うな? 熱はない。
オイルなんか飲んだから? あのときはまだ気分悪くなかった。

俺は、急に何が怖くなってるんだろうな。


何が怖いか、だって? とぼけるな。

とぼけられる性格してたら、こんなふうに悩んでねえよ。


……ああ、煙草、用意しねえとな。
煙草じゃなくてもいいや。できる限りキツい味で、刺激の強い……
でも、匂いは弱いやつがいいな。
ドーニャが嫌がると、困る。



吐いてから寝よう。