RECORD

Eno.378 カナリア・クリフォード・ディアの記録

令嬢は、恵まれている

祖父がいる。
ずっと面倒を見てくれて、時に厳しいけれど。
しっかり愛されている事が分かる程に愛してくれている。

従者がいる。
ある日祖父がつけてくれた従者は、自分と同じくらいに大きな声を持っていて。
そうして祖父と同じくらいに、家族のように愛して見守ってくれている事を知っている。

家がある。
三人で暮らすには大きすぎる家と庭。
けれど父と母が遺してくれたこの家は、家族の思い出が沢山詰まっている。

愛されて、大事にされた思い出がある。
父と母、祖父、そして従者。一心に愛情を受けた一人娘が自分だ。
暖かなものにずっと触れていた。

恵まれている。
困窮せども食べるものがあって、着るものがあって。
教養をと学ばせてもらい、魔術も、武術も、何もかもが与えられてきた。

恵まれている。
幸福だ。幸せだ。
ディア家の血筋である事に、誇りを持っている。

恵まれている。
両親は亡くなってしまったけれど、祖父がずっと傍にいて愛してくれた。
従者を迎え入れてからは、彼からも。
だから令嬢は、立ち直った元気でいる




恵まれている。

恵まれている。

自分はこんなにも、恵まれている。