RECORD
Eno.18 マネス・ミダスの記録
白髪の君
黄金の怪物。
昏き黄金。
"金"の不死者。
黒たる不死者、ヴェルドン・ヴェルドナックを除けば、不敗たる傭兵団の長。
実質的な都市国家ゴウルドールの支配者たるマネス・ミダスが敗れた相手はいなかった。
妖魔の王を殺し、邪教徒を滅ぼし、己の立場を奪おうとした愚者を金へと変えた。
そんな己の前に、訪れたるは、白髪のエルフだった。
長命たるエルフは、真っ先に妖魔に襲撃されたが、
その後自体の重さを、さすがに侮ることは無かったのか、
すぐに異種族との共同戦線に参加した。
ゆえに原初の八神の治める都市国家にも、既に万遍なく住んでいる。
エルフたちは、濃い魔力を持つ。
だからというわけではないが、高慢なエルフも多かった。
傲慢なものも多かった。
いずれも下らぬものばかりであった。
正義のためだの、奪われた者達のためだの、化け物がその席に座るべきではないだの。
いずれも、■がない者たち。
己がまったく惹かれぬ者達。
ゆえに、容易く権能で、呪いで、魔法でその身体に教え込んだ。
その悉くを黄金化し、外に放り出させた。
塵を片付けるように静かにさせていたのだが。
「金の小僧よ。 そりゃあ、やりすぎじゃろう」
捨てさせた後、しばらくして、己の権能が、"昏き黄金"が解かれたと聞いた。
嘘偽りなく、解呪されていた。
そうして、部下に捜索をさせていた時に、白昼堂々とやってきたのが、
あの狸爺だったのだ。
「まず、貴方は誰です?
よくもまあ、私の屋敷にまで入り込めたものですが」
「儂は、ミオリッツァ。
聞き覚え、ないかのう」
聞き覚えが、ないはずがない。
神からも聞いたその名を。
「……ああ、なるほど、あの」
「あのじゃよ。
お主、ちとやりすぎだからの。
エルフ共も馬鹿じゃが、反省はしたろう。
逃がさせてもらうぞ」
「私から逃げられると?」
「勝てぬが、逃げるぐらいなら出来ようよ。
儂、鬼ごっこ強いからの、さて」
言い切る前に、呪いが迫る。
大地ごと汚染する呪いを――。
「儂を黄金化出来たらそちらの勝ち。
できずに逃がされたら、儂の勝ち。
それで良かろう?」
自前で、白髪の君は解呪――いや、そもそも抗呪していた。
神や、極一部の不死者にしか、出来ぬことを、やってのけていた。
今思えば、この時からだろう。
「……いいでしょう。
ご老体、限界が来たことを教えて差し上げるのも、私の役目です」
「ほほ、出来たらで頼むぞ」
この爺を、狸爺と呼ぶようになったのは。
昏き黄金。
"金"の不死者。
黒たる不死者、ヴェルドン・ヴェルドナックを除けば、不敗たる傭兵団の長。
実質的な都市国家ゴウルドールの支配者たるマネス・ミダスが敗れた相手はいなかった。
妖魔の王を殺し、邪教徒を滅ぼし、己の立場を奪おうとした愚者を金へと変えた。
そんな己の前に、訪れたるは、白髪のエルフだった。
長命たるエルフは、真っ先に妖魔に襲撃されたが、
その後自体の重さを、さすがに侮ることは無かったのか、
すぐに異種族との共同戦線に参加した。
ゆえに原初の八神の治める都市国家にも、既に万遍なく住んでいる。
エルフたちは、濃い魔力を持つ。
だからというわけではないが、高慢なエルフも多かった。
傲慢なものも多かった。
いずれも下らぬものばかりであった。
正義のためだの、奪われた者達のためだの、化け物がその席に座るべきではないだの。
いずれも、■がない者たち。
己がまったく惹かれぬ者達。
ゆえに、容易く権能で、呪いで、魔法でその身体に教え込んだ。
その悉くを黄金化し、外に放り出させた。
塵を片付けるように静かにさせていたのだが。
「金の小僧よ。 そりゃあ、やりすぎじゃろう」
捨てさせた後、しばらくして、己の権能が、"昏き黄金"が解かれたと聞いた。
嘘偽りなく、解呪されていた。
そうして、部下に捜索をさせていた時に、白昼堂々とやってきたのが、
あの狸爺だったのだ。
「まず、貴方は誰です?
よくもまあ、私の屋敷にまで入り込めたものですが」
「儂は、ミオリッツァ。
聞き覚え、ないかのう」
聞き覚えが、ないはずがない。
神からも聞いたその名を。
「……ああ、なるほど、あの」
「あのじゃよ。
お主、ちとやりすぎだからの。
エルフ共も馬鹿じゃが、反省はしたろう。
逃がさせてもらうぞ」
「私から逃げられると?」
「勝てぬが、逃げるぐらいなら出来ようよ。
儂、鬼ごっこ強いからの、さて」
言い切る前に、呪いが迫る。
大地ごと汚染する呪いを――。
「儂を黄金化出来たらそちらの勝ち。
できずに逃がされたら、儂の勝ち。
それで良かろう?」
自前で、白髪の君は解呪――いや、そもそも抗呪していた。
神や、極一部の不死者にしか、出来ぬことを、やってのけていた。
今思えば、この時からだろう。
「……いいでしょう。
ご老体、限界が来たことを教えて差し上げるのも、私の役目です」
「ほほ、出来たらで頼むぞ」
この爺を、狸爺と呼ぶようになったのは。