RECORD

Eno.378 カナリア・クリフォード・ディアの記録

令嬢、確かな道を探る

祖父を安心させてあげるにはどうしたら良いだろうか。
従者を安心させてあげるにはどうしたら良いだろうか。

ひとりで生きられるように、力をつけて、何にもできなかった己でも大丈夫なのだと。


「……」




一人、夜、自室で思う。
己が価値があり続ける事ができなかったが故に、
価値のある家ではなくなり、
家が取り潰される。

床に伏せがちの祖父は長くない。
祖父にあぁ言われたから、いつか従者の事も別の家へ斡旋しなくてはならない。

そんな彼らを安心させるためには、一人で生きる力が必要なのだと思ったけれど。


「価値のあるものを、情報を、知識を、持ち帰る」




己自身に力がなくとも、価値がなくとも。
己に付随するものが価値あるものであれば?


「……」




もしかしたら、機会があるのではないか。
価値のある持ち帰った何かしらを求められて、嫁に入る。
知識であれ、情報であれ、上手く広めて身を立てる事ができるのなら。
ならば、家が取り潰される事もないのだから。

――此方のほうが、まだ。


どんな立ち位置でも良い。
己が見初められた訳ではなくとも、少なくとも、価値ある物を示して必要とされたならば。
確実に生きていける。




それは、家族を安心させられる一手にもなるだろう。