RECORD

Eno.378 カナリア・クリフォード・ディアの記録

令嬢、届いた菓子折りを見る

部屋に届いていた菓子折りを見て、令嬢は少し目を見開いた。
菓子包を、と言ったはずだが、届いたものはそれよりも良いもの。

確かに、これも、食べれば無くなるものではあるのだけれど。

「……もっと小さいものでも、良かったのに」



なんて小さく呟いて。
たくさんのクッキーと、缶入りの紅茶のセット。
これは、良いものだ。

改めてお礼をしたい気持ちに駆られるが、しかしてこれそのものがお礼。
んん、とやや唸り、唸りながら早速だと紅茶のためのお湯を沸かし始める。
それと、ミルクも一緒に用意する。

こんな良いものを貰える程、役に立てたのだろうか。
祖父から伝えられたもの、それから、改めて考える事ができたレイピアの扱い。
否、戦いに従事するものならば、きっとどんなものでも、情報でも上手く噛み砕いて糧にしていくのだろう。

さく、とお湯が沸く前に、貰ったクッキーを一枚齧る。
優しい春の暖かさ。優しい陽だまり。
必要な人に、そんな暖かさが届くと良い。

それらを思って、バター香る甘い菓子を、令嬢は食んでいた。