RECORD

Eno.34 クロンの記録

余計なお世話

そろそろここで行われる興行試合も終わるんだそうな。よく行く食堂や、他のとこはまだ少しだけ開いてるみたいだけどな。そうなったら、いよいよ俺も帰る支度をしなちゃならないな。

……本当にここは、自分が居た世界とは何もかもが違うって事を実感させられる。今もなお、見たことがない顔ともよく当たるしな。仕事柄、ここでの戦闘の経験は大きな糧になるはずだ。
問題は、まだ年端も行かねー様なガキンチョが多すぎることくらいか?

食堂によく顔を出す奴らも、話す分には元気に見えるけどな。……まぁ、俺がどれだけ気にしようが、奴らには奴らの世界がある。そいつなりに考えているからこそ、ここで戦ってるんだろう。

手本になるような大人を演じるには些か無理があったかもしれねーな。俺がやってることはお手本なんかじゃない。ただのお節介が関の山だろうよ。まっ、昼夜カンケーなく酒飲んでるような大人の言うことなんざ、察しのいい奴ならとっくに気づいてるかも知れねーけどな!

……そうさ、俺がやってることなんざ、ただの世話の押しつけでしかねーんだ。頭の片隅に微かに残る戦場の記憶。それを忘れようとする為だけの、ただの贖罪モドキ。突貫工事で塗りたくったメッキなんぞ、いともたやすく剥がれ落ちて、中身が露呈しちまうこったろうな。