RECORD

Eno.640 金の男の記録

会話記録

「――もう助からないのか」

「ああ、はっきり言われたよ。
 もって、1週間だ。
 仕事は、十分にした。
 結構、満足感は、あるけど」

「……そうか」

「そんな顔、するなよ。
 元より、こういう、もんだ。
 不死者のお前だって、何回も見送ってるだろう?
 いい加減、慣れて、おけよ」

鎧が叩かれる音。

「ま、そこがいいんだ、けどさ、お前。
 お前は、そういう、やつだ。
 不死者ってのは、大変、だよなあ。
 こうやって、どんどん知り合いを、看取ってきたんだろう」

もう一度力なく、叩かれる音。

「俺は、ここで、死ぬけど、
 お前の生は、まだまだ、つづく、だろ?
 ……額縁、やるから。
 おまえが、これを、みせてもいい、ってやつに、みせてやってくれよ」

激しくせき込む音。
さするような音。

「俺は死ぬ。
 おまえに、こうして痕をつけちまう。
 でもよ。
 ゆるしてくれよ。
 おまえ、親友だもんなあ」