RECORD

Eno.76 ニアの記録

―波の音が聞こえている

(明るい街並みが映り、ゆっくりとした速度で移動していく
やがて、隠れる様にして静かな橋の元へと辿り着けば、景色は固定され
赤い髪がさらり、と揺れた)



「…これで…見えてるのでしょうか……
ちゃんとかくにんしておくべきでしたね…」




「…ニアサマ
お手紙ありがとうございます。しゃしんも…ちゃんと届きましたよ
ほうこくがおそくなってしまってすいません」



「こっちは…えっと、いまさっき夜ご飯をたべました
ぴざってニアサマ知ってますか?
うすいパンにチーズや貝がのってるのです。パリッとしてておいしかったです」



「フラウィウスにもあったのでしょうか…
あまり、いろいろぼうけんしなかったので、わからないですけど……ニアサマの方にもあったら食べてみてくださいね

わたしはお野菜がのってるのがすきでした」



「こちらの世界は…わたしの居た場所とちがって…
なんだか人も多くて、しらないものがたくさんなので…毎日おどろいてばかりです」



お昼にこわかったのも、ニアサマには伝わってしまったでしょうか…

…わたし…アレーナ以外の外はあまりなれてなくて…」



「人がたくさんになると、びっくりしてしまって…
あ、でもプリムラサマがいっしょなのでだいじょうぶです」



「はなれてしまっても、プリムラサマはきっと…探してくださると思うので…」



「………ぁ、もちろんわたしも離れない様にしますよ
えっと…わたしの最近はそういった調子で……あ、しゃしん…」



「みえますか?
とてもかわいいですよ。ニアサマは深い色のイメージがあるので、わたしと似た色でも合いますね」




写真を写し出しながら、子供の指先がそっと表面をなぞっていく。
あなたに痕をのこした位置。



「しゃしん…大切にしますね
たしか…たましい?が撮られちゃったりもするらしいので……あなたサマの一部を無くしてしまったら大変ですから」



「あとで、恥ずかしくなってしまっても返してあげないですから。ふふっ」



「……せっかくなので、少し歩いてかえりましょうか
いつもはあまり外見せれてないので…」



「ほんとうはあまり夜に出歩かない方がいいらしいですけど……すこしだけわたしに付き合ってくださいね
これならひとりのお散歩じゃないですし…」




固定されていた景色が動く。
視点が上がり、夜の街並みを映し出して




コツリ、子供の姿は街中へ消えて行った。