RECORD

Eno.640 金の男の記録

不死者について



「連中、どっかおかしいのさ。
 ……凄い稀に、正気を保ったままの不死者ってのもいるが、
 どこかやっぱネジが外れていく」

男――冒険騎士フェルズは言う。
目の前に座っている相手を気にせずに、酒を飲みながらそう語る。

「俺だって、言っちまえば長命者……もうアンタは俺の正体を知っているから
 言うが、デュラハンだからな。
 長生きだが、それとこれとは違う。
 俺は元々、そういう風に作られ、生まれた命だ。
 だから永遠にも等しい時間……それこそ、星の終わりまで生きる事になっても、
 多分なんだかんだ生きていくだろうさ」

だが、不死者は人から生まれる。
そして、人智を超えた怪物へと成り果てる。

「何もかも諦めながら、それでも英雄として振舞う者。
 妖魔狩りに全てを掛ける者。
 若輩の身で不死者にされて翻弄される者。
 
 それから、人に異様な執着を見せる者。
 俺の生きてきた中で、実際に会ってきた不死者は、こいつらかな」

それから、冒険騎士フェルズは酒を飲み、答えた。

「特に、人に対して執着する奴はやべえぜ。
 自分より短く、儚く、そして全てを諦めたようなどうでもいいような態度を
 した奴ほど、言っちまえば自分を大事にしない奴ほど執着される。
 捕まった奴は、まあ、運が無かったな」