RECORD
Eno.76 ニアの記録
―雪の降る音がする
届いた包み。
四度目ともなれば、少し慣れて来た届け物を受け取って
悩んだ後に玄関を出て、扉を背にしながら包みを開く。


目に映る鮮やかな色は、何度か二人で包まれた色。
その景色を知っているのは、わたしだけでは無いのだろうけれど…


書かれた文字を目で追って、夫婦である事実に心の温もりを感じながらも
ずっと甘えてしまえば迷惑をかけてしまう気もして本を眺めるばかり。
あぁ、でもいつかのお守りの様に…贈るだけであれば許されるかな…

あの人、という単語だけ都合よく子供の視界は消して
続きの文字を読んでいく。


どちらの響きも良いものだと思う。
言葉の響きも意味も考えて贈られるそれは、唯一無二の母親からの愛であり、視線なのだろうから。
子供にとっては、手段のひとつであっても
貴方にとってはこれから共に過ごす家族………



こういった事はあまり慣れておらず、自信の無さげな声が響く。

実際、その響きは子供のいつかの家族名に近いもの
だから、ふと頭に浮かんだのだけれど。それだけ。

まるで、会話でもする様に手紙を最後まで読み終えれば
丁寧に折り畳んで息を吐く。
白い息が空気に触れて消えて。
”シュガーレス”にはどんな意味があったのだろう、と過る考えも白い息と共に吐き出して
数分程度そうしてから、貴方の瞳と新しい贈り物を手に家の中へと戻っていった。
四度目ともなれば、少し慣れて来た届け物を受け取って
悩んだ後に玄関を出て、扉を背にしながら包みを開く。


「マフラー……それに本……
あ、ニアサマが編んでくださったのですね」
目に映る鮮やかな色は、何度か二人で包まれた色。
その景色を知っているのは、わたしだけでは無いのだろうけれど…

「教会から貰った物はツギハギだらけになっていましたし…ありがたく使わせていただきましょう」

「…いいふうふ……こうじつ……」
書かれた文字を目で追って、夫婦である事実に心の温もりを感じながらも
ずっと甘えてしまえば迷惑をかけてしまう気もして本を眺めるばかり。
あぁ、でもいつかのお守りの様に…贈るだけであれば許されるかな…

「……なまえ」
あの人、という単語だけ都合よく子供の視界は消して
続きの文字を読んでいく。

「なまえは…最初に親から子へおくられるもの……とも言いますもんね…」

「…エルノアウローラ……ナハネアウローラ…」
どちらの響きも良いものだと思う。
言葉の響きも意味も考えて贈られるそれは、唯一無二の母親からの愛であり、視線なのだろうから。
子供にとっては、手段のひとつであっても
貴方にとってはこれから共に過ごす家族………

「……」

「……ナハネ
…メリィナハネアウローラ……」

「メリィは…幸福やしあわせを差す言葉です……幸を呼ぶ者という…意味もあるのです…
幸福をもたらす雨に黎明ならば……いいのではないでしょうか…」
こういった事はあまり慣れておらず、自信の無さげな声が響く。

「ナハネアウローラでも…すてきなひびきだと思いますから、わたしの案は気にされずともいいですし…
苗字として扱ってくれてもいいです」
実際、その響きは子供のいつかの家族名に近いもの
だから、ふと頭に浮かんだのだけれど。それだけ。

「…体調に気を遣うのはニアサマの方ですよ…
体を冷やすのはよくないと聞きましたから……ちゃんとやくそくをまもって、いいこにしていてくださいね」
まるで、会話でもする様に手紙を最後まで読み終えれば
丁寧に折り畳んで息を吐く。
白い息が空気に触れて消えて。
”シュガーレス”にはどんな意味があったのだろう、と過る考えも白い息と共に吐き出して
数分程度そうしてから、貴方の瞳と新しい贈り物を手に家の中へと戻っていった。